先発ローテ入りへ好スタート

今季は先発で勝負する入江。キャンプも順調に過ごした
力でねじ伏せるだけではない。先発転向で新たな投球スタイルの片鱗を見せているのが、
DeNAの
入江大生だ。2月15日の練習試合・
中日戦(北谷)で先発登板し、3回1安打無失点。奪三振能力の高さが武器だが、この日は緩いカーブを巧みに使って打たせて取る投球で奪三振はゼロ。意図する投球が見える快投で先発ローテーション入りへ、好スタートを切った。
右肩の故障から復活した昨年は50試合登板で3勝3敗22セーブ6ホールド、防御率3.15をマーク。春先から安定した投球を続けて守護神として起用されたが、疲労もあっただろう。夏場以降は痛打を浴びる場面が目立ち、9月以降は抑えを明け渡す形に。多くの学びを得たシーズンとなった。
最速159キロの直球と落差の大きいフォークを武器に45回2/3で45三振を奪ったが、投球の引き出しを増やすために打者のタイミングを外す緩い球の重要性を感じていた。週刊ベースボールの取材で以下のように語っていた。
「ストレートだけに頼らず、いろんな幅を出したいです。カーブをどういうふうにアクセントとして使うかを考えてやっていきたいと思っています。シーズン中に
ローワン・ウィックや
トレバー・バウアーに投げ方を聞きました。向こう(アメリカ)のカーブは指を立てて投げるのが主流です。身につけて投球の幅を広げていきたいと思います」
先発陣の強化が重要課題
DeNAは先発として稼働してきた
アンソニー・ケイ、
アンドレ・ジャクソンが昨年限りで退団。先発陣の強化が重要課題の中で、球団サイドは入江の配置転換を決断したが、本人も新人の21年以来5年ぶりの先発挑戦を望んでいた。
「球団から打診がありましたが、僕の意志もありました。新人のような気持ちでキャンプをしっかりやり切ろうと思っています。1年間ケガなく投げるのが前提ですけど、100イニング以上は絶対に投げないといけないと思います。一番の武器は経験じゃないかと思います。中継ぎ、抑えで1球の重み、1球の大切さをより感じられました。絶対に先発にも生きてくると思います。より打たれにくくするためには、力感のないフォームが大事なんじゃないかと考えています。フォームと球のギャップを見せたいです。緩いフォームで速い球が来たら打てないじゃないですか。そういうところを目指します」
守護神からの転向で成功例

DeNAで守護神から先発に転向して好結果を残した山口
救援での経験は先発で必ず生きるだろう。過去にDeNAの投手で守護神から先発に転向した成功例で
山口俊がいる。高卒4年目の09年から抑えを務めて通算112セーブを挙げたが、14年のシーズン途中に先発転向し、16年に11勝をマーク。FA移籍した
巨人で19年に15勝4敗、防御率2.91で最多奪三振、最高勝率(.789)のタイトルを獲得し、5年ぶりのリーグ制覇に大きく貢献した。リリーフから先発に転向した時を以下のように振り返っている。
「リリーフで投げていて調子が上がらず、ゴールデンウイーク中にファームで調整することになって。当時、木塚(
木塚敦志)さん(現DeNA一軍投手コーチ)が二軍の投手コーチだったのですが、横須賀で僕が外野を歩いたり走ったりしていた30〜40分間ずっと付き合ってくれました。『どうしたいんだ?』って聞かれて、『現役が終わってもいいので先発をやらせてください』って話をさせていただいて。木塚さんが僕の思いを上に持っていってくれた。木塚さんが伝えてくれなければ、二軍でリリーフ調整していたでしょうし、先発することはなかった。先発をやりたい気持ちは、ずっとありました。僕のピッチャーの理想像は先発完投。もともと投げるのが好きで、投げる体力は何一つ不安がなかった。中畑(
中畑清)さん(当時DeNA監督)もよく先発で使ってくれたなと思います。僕は2、3試合しかファームで投げていないし、ほかに先発調整していた投手もいたので。大きなターニングポイントだったと思います」
入江も投げる球を見れば、エースになれる逸材だ。先発でDeNAの救世主になれるか。
写真=BBM