カウントを悪くして甘い球で集中打

昨年も一軍では結果を残せなかった仲地
WBCに向け、強化試合最終戦となった3月3日の
阪神戦(京セラドーム)。侍ジャパンは
高橋宏斗、
金丸夢斗のほか、サポートメンバーで選出された
根尾昂、
仲地礼亜と
中日の4投手が登板した。高橋宏は2回無安打3奪三振無失点、金丸が3回1安打無失点と快投を見せ、根尾も9回を三者凡退とピシャリと締めた中で、苦しいマウンドになったのが仲地だ。
5点リードの8回から登板したが、一死一、三塁のピンチでドラフト3位ルーキーの
岡城快生に左前適時打を浴びると、二死満塁から
小幡竜平に右翼線へ走者一掃の二塁打で4失点。制球が定まらずボール球先行でカウントを苦しくして、甘い球で集中打を浴びた。
前監督が口にしていた大きな期待
今年がプロ4年目。本来なら先発で一本立ちしてもらわなければ困る投手だ。沖縄大で急成長し、3年春からエースを務め地区予選ベストナイン、最多勝、MVPを受賞。大学選手権では初戦の名城大戦で惜敗したが、8回8奪三振1失点(自責0)の快投でプロのスカウトの評価を高めた。最速151キロの直球にスライダー、フォーク、カーブ、カットボール、チェンジアップ、ツーシームなど多彩な変化球を操り、ゲームメーク能力が高い。侍ジャパンのWBCメンバーに選出された
森下翔太(阪神)、
曽谷龍平(
オリックス)など大学生の有望株がいた中で、中日が仲地の1位指名を事前公表したことが、期待の大きさを物語っている。
ドラフト会議前日の夕方。
立浪和義前監督が1巡目指名を公表する直前に沖縄大の大城貴之監督の携帯に連絡が入った。「本当に信じられない思いでしたけど、電話を切ってすぐ仲地に電話しました。ちょうどそのとき、お父さんが横にいて、そのことを伝えたら2人の驚く声が電話越しではっきりと聞こえてきて。みんなでビックリしてました(笑)」と振り返る。立浪前監督は「欲しい投手が抽選なしで(交渉権が)獲れたというのは非常に良かった。大丈夫だと思っていたけど、ドキドキしながら見ていました。ストレートも良いし、スライダーもいいものを持っている。トータルのバランスが良いので1位指名させてもらった。来年から期待しているし、ローテに入って長くドラゴンズを引っ張ってほしい。バンテ
リンドームで躍動してもらいたい」と大きな期待を口にしていた。
ファームで見せる非凡な才能
沖縄県内の大学から初めてのドラフト指名選手が誕生し、「沖縄の大学からでもプロに入れるんだと。子どもたちに少しでも夢を与えたい」と誓った右腕だが、プロ入り後は輝きを放てていない。新人の23年は9試合登板で2勝5敗、防御率4.98。その後も殻を破れない。24年に続き、昨年も2年連続1試合登板で未勝利に。8月28日
ヤクルト戦(バンテリン)で先発したが、3回に
北村恵吾のヘルメットを直撃する死球を与えて危険球退場となった。1失点だったが、3安打5四球と常に走者を背負う投球では首脳陣の信頼をつかめない。
ウエスタン・リーグでは15試合登板で8勝6敗、防御率2.81をマークし、ファーム日本選手権では先発で6回途中まで無失点に抑える快投で日本一に導き、最優秀選手に選出されている。ファームでは非凡な能力を見せているだけに、一軍で力を発揮できない現状は本人も歯がゆいだろう。今年は2段モーションをやめて大きく左足を上げる入団時の投球フォームに戻した。
開幕先発ローテーション入りを狙うが、「期待の若手」という立場ではなくなってきている。高橋宏、金丸に加えてドラフト1位の
中西聖輝、2位の
櫻井頼之介は共に即戦力右腕として評価が高い。日の丸を身にまとったマウンドでは悔しい結果となったが、背水の陣の仲地に落ち込んでいる時間はない。成長の糧にして実戦でアピールを続けるしかない。
写真=BBM