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「想像がつかない選手になる」 他球団が警戒する「黄金ルーキー」は

 

スケールの大きいスイッチ


今季、広島にドラフト1位で入団した平川。開幕戦に一番でデビューする予定だ


 今年のオープン戦は新人の活躍が目立つ。巨人のドラフト1位左腕・竹丸和幸ロッテのドラフト2位・毛利海大が開幕投手に抜擢され、中日のドラフト1位・中西聖輝、2位・櫻井頼之介の両右腕も先発ローテーション入りが決まった。

 野手陣で強烈にアピールしたのが、広島のドラフト1位・平川蓮だ。オープン戦で通算21安打をマーク。ドラフト制以降の新人で球団史上初となるオープン戦最多安打に輝いた。春季キャンプから攻守で活躍が際立っていた。今年チーム初の対外試合となった2月15日の練習試合・巨人戦(那覇)でマルチ安打デビュー。18日のロッテとの練習試合(沖縄)で左打席から右翼席へ豪快なアーチを描いた。その後も快音を響かせ、28日のオープン戦・楽天戦(倉敷)では、右打席で高めの直球をとらえると打球は最深部の右中間席へ。新井貴浩監督が「右打者があそこに入れるっていうのはなかなか難しい」と目を丸くした。

 身長187センチ、体重93キロの恵まれた体格で、長打力と俊足を兼ね備えたスイッチヒッターとスケールが大きい。新井監督は開幕戦に一番で起用することを明言している。他球団のスコアラーは「将来どんな選手になるか想像がつかない。打撃、走塁、守備とすべてが高水準。トリプルスリーを達成する可能性が十分にあるでしょう。新人として見ていません」と警戒を口にする。

 札幌国際情報高で2年夏からベンチ入り。3年夏は「四番・エース」で南北海道大会準決勝敗退と甲子園出場は叶わなかった。仙台大に進学して1年夏から内野手に転向し、2年秋から両打ちに挑戦。3年春のリーグ戦で打率.323、2本塁打、12打点をマークして打点王に輝くと、3年秋から外野を守り、4年春に打率.371、1本塁打、8打点で盗塁王(7盗塁)を獲得した。

唯一の両打ちトリプルスリー


2002年に西武でトリプルスリーを達成した松井


 過去にトリプルスリーを達成した選手は10人。このうち、スイッチヒッターで達成した選手は西武、楽天、メジャーで日米通算2705安打をマークした松井稼頭央のみだ。西武時代の2002年に打率.332、36本塁打、33盗塁をマーク。プロ入団後にスイッチヒッターに挑戦すると、並外れた練習量で才能を開花させた。松井はスイッチヒッターの難しさについて、週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っている。

「左打席でストライク、ボールを見極めようとすると、消極的になってしまいますから。まずは自分が打てると思ったら振っていい、と。バットを振っていく中で、バットコントロールなど対応力が身についてくる。逆に見逃し三振をしたら、怒られたりしましたからね。それと左打ちを始めたときは内角への恐怖心がなかなか取り除くことができなかった。最初は軟式テニスで使用する軟らかいボールを投げてもらい、よけ方を身につけていきましたね。だんだんと慣れていった後に、アイスホッケーで使用するような防具を着けて、硬式のボールを使ってストライク、ボールを見極める練習を積んでいきました。あとはやっぱり東尾監督に打てない中でも試合で我慢して使ってもらって、実戦の中で成長していきましたね」

「右、左で人格を変えなさい」


 1997年に就任した須藤豊ヘッドコーチの助言も大きかった。

「『右打席、左打席でそれぞれ人格を変えなさい』と。右打席では待っている球種と違うボールが来ても体が勝手に反応して打てましたが、左打席ではしっかりした体の使い方をしないと良い当たりにならない。だから、右は右、左は左での打法を完成させないといけない。それをあらためて指摘していただいたんですが、会うたびに『お前の右は何だ』『左は何だ』と聞かれて。意識づけるためだったんでしょうけど、いろいろと考えて僕は『左では賢く打つけど、右はアホになって打ちます』と。とにかく、『本当の左打者になってやる』という意気込みでやっていましたね」

 希少価値となったスイッチヒッターで、平川も大輪の花を咲かせることができるか。底知れない潜在能力を秘めた黄金ルーキーの挑戦が始まる。

写真=BBM
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