汚名返上に燃えた名手

4月12日のロッテ戦、サヨナラ本塁打を放った林安可[左]とともにお立ち台に上がった源田
西武は4月12日のロッテ戦(ベルーナ)に延長10回の末、林安可の来日1号となるサヨナラ本塁打で2対1と逆転勝利。これで2カード連続の勝ち越しを決め借金を2まで減らした。
初戦の県営大宮では勝利まであと一死と迫りながら、
小川龍成の平凡な遊ゴロを名手・
源田壮亮がファンブル。すぐに拾い上げて一塁に送球するも間に合わず、その間に二者が生還し逆転を許してしまった。
過去7度のゴールデン・グラブ賞に輝く源田は「絶対に捕らないと、グラブに収めないといけない打球。チームに申し訳ない」と猛省し自らを律したが、結果的にこのワンプレーが西武にとっては3戦を通じたポイントのプレーとなった。
痛恨の失策を犯した源田は汚名返上に燃えた。11日の第2戦(ベルーナ)ではマルチ安打に好守を連発して勝利に貢献した。そして、第3戦では1点ビハインドの9回二死二塁から
横山陸人の内角ストレートをバットを折りながら、しぶとく中前へ落とし同点タイムリー。延長10回裏のサヨナラ勝利をお膳立てした。
土壇場でチームを救った源田は「とにかく走者をかえすことだけを考えて食らいついた。いいところに落ちてくれました」と値千金の一打についてコメント。その上で「ああいうヒットっていうのも大きいですし、ああいう場面で出たっていうのも自分にとっては大きい」と意味のある一打を振り返った。
そして初戦の失策に触れ「ミスは消えないですけど、何とか取り返そうとやった結果が勝ちにつながってよかった」と表情を引き締めながら2勝1敗と勝ち越したこのカードを総括した。
西口文也監督は「本当に最後というところで、1本出してくれた。(9回に)追いつけたことがね、この勝利につながってるんでね、非常に大きな1本だった」と源田の執念を称えた。
サヨナラ勝利につながる好守
また、
黒田哲史内野守備・走塁コーチは県営大宮での源田の失策について「いつもどおり変わりなく、あのときもしっかりと準備をしてくれていた。下が土のグラウンドだったんで、それなりの準備はいつも以上にして臨んだわけで、まあ誰だってエラーはするし、ありますよ」としながらこう続けた。
「源田のことなんかね、誰も責めることなんてできないですよ。今までどれだけチームを救ってくれたかという話ですから。だからといって(失策を)やっていいのかって言ったら、それは話が別なわけで。まあ源田クラスだったらあれぐらいはさばいてほしかったですけど、まあでもやってしまったもんはしゃあないです」
そして、源田が同点打を放った直後、10回表の守備ではその裏のサヨナラ勝利につながっていく好守が連発。
滝澤夏央が
グレゴリー・ポランコのセカンド後方にフラフラっと上がったハーフライナーを背走しながら後方へジャンピングキャッチで好捕。そして途中出場の“急造一塁手”
長谷川信哉も
友杉篤輝の一、二塁間の打球に飛びつきマウンドの
羽田慎之介を助けた。
この二つの好守に黒田コーチは「練習を見てたら分かると思うんですけど、あの練習をあいつ(滝澤)は毎日やってるんです。フライではない後方に行ったハーフライナーの捕球練習を。あれを毎日欠かさず『お願いします!』とやってるんで、その練習の成果というか、練習でやってるから試合でできるんだと思うし、あの打球は回転がかからず途中から揺れてきた打球。その意味ではスーパープレーですよね。長谷川もよくやっていると思う。自分で進んで練習もするし、もともとは内野手でしたから」と称えた。
チーム得点は首位・
ソフトバンク(71得点)より33点少ない38得点。打ち勝つことがなかなか難しい打線の中で、できる限り失策を防いで、なんとか守備から攻撃のリズムを作っていくしかない西武。そのチーム全体の守備意識をもう一度引き締め直してくれた名手・源田の失策だった。
文=伊藤順一 写真=大泉謙也