開幕直前に支配下登録

今季は7試合に登板して無失点と好投を続けているルシアーノ
救援で登板を重ねるたびに首脳陣の信頼を高めているのが、
巨人のエルビス・ルシアーノだ。
来日4年目で野球人生の転機を迎えている。育成契約から開幕直前に支配下昇格を勝ち取ると、開幕2戦目の
阪神戦(東京ドーム)から4試合連続無失点。外国人枠の関係により、キューバ代表でWBCに出場していた
ライデル・マルティネスと入れ替わる形で4月3日に登録抹消されてファームでは先発で調整していたが、19日に一軍昇格するとイニングまたぎができるリリーバーとして重宝されている。同日の
ヤクルト戦(神宮)に6回から登板すると2回無失点。7回に二死一、二塁のピンチを招いたが、
ホセ・オスナを三ゴロに打ち取った。
ルシアーノの強みは制球がまとまっていることだ。150キロ台の直球にスライダー、フォークを織り交ぜてパフォーマンスが安定している。24日の
DeNA戦(横浜)では同点の9回から登板し、際どい球がボールと判定されて2四球で一死一、二塁と一打サヨナラの場面を迎えたが、
林琢真を右飛、
三森大貴を外角いっぱいの直球で見逃し三振に抑えて雄叫びを上げた。
ハングリー精神を忘れずに
26歳の苦労人だ。2019年にブルージェイズで25試合に登板したが、20年以降はメジャーで登板することが叶わず、23年に育成契約で巨人に入団した。早期の支配下昇格を目指したが、入団1年目の春季キャンプで右肘に違和感を覚えて、翌24年6月に「右肘頭疲労骨折」の手術を行った。投げられない時期が長かったが気持ちを切らさず、リハビリに真摯に取り組んだ。来日4年目の今年はオープン戦で7試合登板して防御率0.00とアピールし、開幕直前に支配下昇格。「今までと変わらずハングリー精神を持って自分のベストを尽くしたい」と記者会見で誓い、写真撮影で妻のエリアナさん、息子の
マシューくんとともに笑顔を浮かべていた。
ルシアーノにはブルペンに良きお手本がいる。
中日の育成入団から球界を代表する守護神にのぼりつめたR.マルティネスだ。17年にキューバから来日すると、193センチの長身から投げ下ろす150キロ超えの直球、スプリット、スライダー、チェンジアップを駆使して最多セーブのタイトルを3度獲得。中日から巨人に移籍1年目の昨年は58試合登板で3勝2敗46セーブ3ホールド、防御率1.11と奮闘した。
「厳しい練習も投げ出さなかった」

中日時代のR.マルティネスも育成からはい上がっていった
野球評論家の
小笠原道大氏は、異国の地での成長ぶりを週刊ベースボールのコラムで語っている。
「彼が19歳で中日に入団した2017年、私は同球団で二軍監督を務めていました。193センチの長身に長い手足。まだまだ線は細かったけれども、恵まれた体から角度のある速球を投げ込んできます。コントロールはこれからというところで、未知の部分は多いながらも、天賦の魅力がありました。言葉も通じず、食事にも苦労し、おまけに練習はとんでもなくキツい。私も彼には折につけ『頑張れ』と、前向きになってもらえるような言葉を掛けていたつもりですが、実際いつ逃げ出してもおかしくなかったと思います。しかし、彼は厳しい練習も投げ出しませんでした。徐々に球速は上がり、二軍の試合に投げられるようになりました」
「オフ、キューバに帰国して日本へ戻ってきたとき、体が目に見えて大きくなっていることに気付きました。休まずトレーニングをしてきたのでしょう。球速は150キロを超え、本人もより意欲的な姿勢を見せ始めました。速球だけでなく、課題だった変化球の制球力も次第についてきて、2年目には一軍の試合にも呼ばれるようになりました。そこからの活躍は、皆さんご存じのとおりです」
投球術のみならず、向上心の強さ、マウンドに上がるまでの準備、登板時のマインドコントロールなどR.マルティネスから学ぶことは多いだろう。ルシアーノも異国の地での成功を夢見て、右腕を振り続ける。
写真=BBM