ネビンのバットが絶好調
西武が5月4日のソフトバンク戦(ベルーナ)に10対2と大勝し再び勝率5割に戻した。先発した
菅井信也は6回4安打2失点の好投、味方打線の19安打10得点の大量援護に守られ今季5試合目でうれしい初勝利をマークした。
なんといってもこの日の主役は復帰4戦目で来日初の1試合2発を含む4打数4安打5打点の大暴れを演じたタイラー・ネビンのバットだった。
初回二死一塁の第1打席でソフトバンク先発・
徐若熙の高めに浮いたスライダーをとらえ左翼に2号先制2ランを叩き込み、復帰後初のホームゲームで満員のレフトスタンドを沸騰させた。さらに2回二死一塁の第2打席でも同じ徐の内角高めに浮いたチェンジアップを技術で左翼ポール際中段まで運ぶ3号2ランとし、試合の主導権を引き寄せた。
結局、ネビンは4回の左前打、5回の二塁適時内野安打を含め4安打5打点の大当たりで復帰後4戦の成績は打率.625、3本塁打、7打点の絶好調。主役の帰ってきた打線は5月の4試合で計55安打、25得点と活発でチームは3勝1敗と上昇気流に乗っている。
そのネビンは本拠地のお立ち台で「すごく特別な夜になりました。戻ってこられてうれしい。アリガトウゴザイマシタ」と熱狂的なファンにまず感謝。「今日はとてもいい感じでスイングができた。高めのボールを待っていたので、しっかりそれをとらえていい結果につながってよかった。ケガでなかなかプレーできないのは楽しくない。こうしてファンやチームメート、コーチ、監督のためにプレーするため戻ってこられたことがうれしい」と開幕から1カ月遅れながら、万全の状態で一軍に昇格できたことを喜んだ。
そして、その上で「個人的な数字のゴールは決めないようにしている。毎日プレーするということを目標にして、毎日が大事なゲームだということを自覚して、チームの勝利に貢献したい」と自らの信条を語った。
西口文也監督は待ち望んでいた主砲のロケットスタートに「何も言うことがないです。復帰してからずっと状態がいいので、頼もしいですね。今までずっと一軍の試合に出られなかった分、溜まっていたものを一気に吐き出している。そんな感じがしますね」と期待以上の四番の活躍に最大級の賛辞を送った。
得点数も徐々にアップ
一時は最大借金5を背負っていた3位・西武は再び5割復帰となり2位・ソフトバンクとのゲーム差も1と肉薄している。
そして、驚くべきはこの日、33試合終了時点でのチーム打率.248は首位・
オリックス(チーム打率.247)を抑えパ・リーグトップに浮上したこと。ここ数年の懸案であったチーム得点数も早くも3度目の2ケタ得点で119得点(平均3.6得点)に伸びリーグ4位。シーズン換算では515得点ペースで2021年の521得点以来、実に5年ぶりの500得点ペースとなっている。
思えば得点数では23年(435得点)、24年(350得点)、25年(410得点)と3年連続のリーグ最下位で、自慢の投手力を“貧打”が見殺しにしてきた近年のライオンズ。3年連続Bクラスからの再建を図るには、これまで点だった打線をいかに線にするかが大きな課題とされてきた。
今季のチームスローガン「打破」を打ち出した西口監督はキャンプ前から「守り勝つ野球を続けてきた中で、打撃力の向上は不可欠」と言い続けてきた。
確かに、ここ4試合のネビンは神がかり的な活躍を見せているが、ここまで1カ月強で積み上げてきたチームの得点数はネビン以外の野手の功績が大きい。現場、球団が目標としてきた攻撃力の底上げが成功している途中経過ともいえるのではないか。
リーグ連覇を果たした18年(792得点)、19年(756得点)の山賊打線までは望み過ぎかもしれないが、これまでの低迷を振り返ると十分に期待を抱かせるシン・ライオンズ打線だ。
文=伊藤順一 写真=川口洋邦