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最下位低迷の中日で奮闘…「元阪神の巧打者」が衝撃アーチ連発で覚醒の予感が

 

「サイクル超え」の大活躍


パンチ力のある打撃を随所に発揮している板山


 中日が苦境から抜け出せない。5月17日のヤクルト戦(バンテリン)に1対5で敗れ、2カード連続負け越し。借金12で最下位に低迷しているが、活躍が光る選手がいる。阪神から移籍3年目を迎えた板山祐太郎だ。

 スタメン出場は11試合と決して多くない。左投手が先発の時はスタメンを外れるが、与えられた打席で強烈なインパクトを残している。4月7日のDeNA戦(横浜)で、4点差を追いかける9回無死一塁で代打出場すると、山崎康晃のスプリットを右翼席に運ぶ2ラン。試合は敗れたため笑顔はなかったが、アピールを続ける。「八番・二塁」でスタメン出場した25日のヤクルト戦(バンテリン)で、0対0の2回一死満塁から小川泰弘の直球を豪快に振り抜くと打球は右翼席中段へ。自身初の満塁弾に満面の笑みを浮かべた。

 5月15日のヤクルト戦(バンテリン)では「サイクル超え」の大活躍。2回に高梨裕稔のカーブを右前にはじき返して出塁すると、4回もカーブを右中間に運ぶ二塁打。6回は145キロの直球を右翼テラス席に運ぶ3号ソロと止まらない。27イニングぶりの得点で起爆剤になると、三塁打でサイクル安打達成だった7回二死満塁の好機に、左腕・荘司宏太の高めに浮いたチェンジアップを右翼席へ2打席連発となる今季2本目の満塁アーチ。4安打5打点はいずれも自己最多だった。25試合出場で打率.275、4本塁打、13打点。57打席でこの数字は立派だ。規定打席に到達していないが、OPS.978はセ・リーグで2番目に高い数値となっている。

家族のためにも必死に頑張ろうと決意


 阪神時代は身体能力の高い外野手として期待されていたが結果を残せず、2023年オフに戦力外通告を受けて退団。板山は週刊ベースボールのインタビューで当時を以下のように振り返っている。

「ついに来たか、という思いと、まだできるという思い、それにホッとした気持ちも正直ありました。毎年のように若い選手が入って来ましたから、戦力外は数年前から毎年のように覚悟はしていました。昨年も岡田(岡田彰布)監督からはチャンスをいただいていたのに、それに応えられなかったので、自分ではもうここまでかと思っていました。1年目がキャリアハイですからね。その後はもやもやした感じで時間だけが過ぎていったというか……。自分なりに考えて練習、トレーニングはしていたつもりですが、試合に出ている選手はそれ以上にやっていたのだと思います」

「ずっとストレスを抱えてやっていましたから、これでようやくそこから解放されるという……。少しですけどね。でも、いろいろな方に戦力外になったことを報告した際、みんなに『やれるなら1年でも長くユニフォームを着たほうがいい』と言われて、やっぱりそうだなと。そんなときにドラゴンズから真っ先に連絡をいただきました。家族に連絡したら、息子を含めて喜んでくれて、家族のためにも必死に頑張ろうと決意しました」

大切にしている言葉


 24年に育成契約で中日に移籍すると、5月に支配下登録を勝ち取った。内外野を守れるユーティリティー性とパンチ力を武器に65試合出場。昨年は84試合出場と存在感が高まっていた。板山は大切にしている言葉がある。

「僕に限らず、選手にとって環境が変わるというのは大きなこと。大事なのはあきらめず、毎日コツコツやることだと思います。それを続けてきて良かったなというのはあります。これは阪神時代、鳥谷敬さんから言われたことでもありますが、『自分で決められないことに労力を使う暇があったら、自分のできることを一生懸命にやるべきだ』と。試合に出るか出ないかは自分では決められないし、移籍したいと思っても相手先から欲しいと言ってもらえないと実現しない。そこに不満を言っていても無駄だし、だったらそういう選手になれるように準備、努力をするべきだと。今もその気持ちは忘れていませんし、これからも忘れずにやっていこうと思っています」

 1試合1打席に人生がかかっている。救いの手を差し伸べてくれた中日のために全力を尽くす。

写真=BBM
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