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「自分の殻の中だけで勝負していた」西武ドラ2守護神を変えた炭谷銀仁朗の助言

 

改めて見つめ直す時間


新人ながら18セーブを挙げている岩城。1日も早い一軍復帰を誓う


 ただコンディションを整えるだけの二軍調整ではなかった。西武のドラフト2位左腕・岩城颯空が、一軍復帰へ向けて着実に歩みを進めている。

 ルーキーイヤーから抑えの大役を任され、前半戦は26試合に登板して1勝1敗18セーブ2ホールドを記録。新人離れしたマウンド度胸でブルペンを支えてきた。しかし、6月10日の広島戦(ベルーナ)以降は3試合連続で本塁打を浴びるなど、心身両面に疲労が見え始め、6月24日に出場選手登録を抹消された。

 以降はファームでリカバリーに専念。7月11日のファーム・リーグ中地区のDeNA戦(カーミニーク)で実戦復帰を果たすと、18日のオイシックス戦(同)ではクローザーとして登板するなど、復帰後は3試合3イニングを無安打無失点、2奪三振。状態を着実に上げながら、一軍復帰への準備を整えている。

 約3週間の二軍生活は、コンディションを取り戻すだけの時間ではなかった。自身の投球を見つめ直し、勝負の組み立てを再構築する貴重な期間になったという。

 岩城は「ファームでは、今ある自分の力でどうバッターと勝負するかという部分を、試合を通してたくさん話し合いながら、改めて見直す時間になりました」と振り返る。

「まずはチームの勝ちに関わる場面で、いかに打者との勝負を有利に進めるか。駆け引きの部分が改めて大事だと思いました。何でストライクを取るのか、投げた球種の次に何を投げるのか。そういう組み立てが重要になってきます」

印象に残ったカーブの使い方


 岩城最大の武器は、140キロ台後半の力強いストレートだ。直球で押し込み、ファウルを打たせながら主導権を握るスタイルを持ち味としてきた。しかし、その真っ向勝負だけでは相手にも狙いを絞られやすい。

 特に印象に残ったのが、カーブの使い方だった。

 だからこそ今回の二軍調整では、投球の幅を広げることをテーマの一つに据えた。

「投球の幅をもっと広げるために、違う入り方や違う攻め方のレパートリーはまだあると思っています。それをもっと使えるようになりたいです」

 その考え方に新たな視点を与えてくれたのが、首脳陣やベテラン捕手・炭谷銀仁朗との対話だった。

「まずはベース板の上で勝負できるストレートの強さを取り戻すことが前提です。その中で18日の試合ではギンさん(炭谷)とも話をさせてもらいました。打者目線や緩急の使い方を教えていただいて、すごく気持ちが楽になりました。『そういう駆け引きもできるんだ』という考え方を持てました」

 これまでも持ち球ではあったが、守護神という役割もあり、勝負どころで積極的に使うことは少なかった。しかし炭谷からは、「見せ球」として使う重要性や、ストレートをより生かすための緩急の有効性について助言を受けた。

 同じ左腕の武内夏暉が、ルーキーイヤーからカーブを効果的に織り交ぜて投球の幅を広げていたことも例に挙げられたという。緩い球を見せることで直球をより速く感じさせる──。その投球術は、岩城にとって新たな発見だった。

「ずっと自分の殻の中でピンポイントな勝負をしていた部分がありました。そういう話をしてもらったことで、考え方が広がったなと思います」

 140キロ台後半の力強いストレートが最大の武器。ただ、その直球をさらに生かすためには、相手打者に的を絞らせない投球術も欠かせない。ファームで得た新たな引き出しを、一軍復帰後の新たな武器へと変えていく。

状態を上げることに専念


 一方で、岩城は監督推薦でオールスターゲームのメンバーにも選出された。現在は二軍調整中ではあるが、第2戦(7月29日)は故郷・富山で開催される。

「いろいろなことが噛み合って選んでもらえたのかなと思います。自分の実力だけで選ばれたとは思っていません。でも、選ばれたことは本当にうれしいです」

 もちろん、本人が見据える先は球宴ではない。

「もちろん早く戻れるのがベストですけど、それは僕が決められることじゃない。まずは毎日、状態を上げていくことに専念したいです」

 ルーキーイヤーで初めてぶつかった壁。その時間は、投球の幅と勝負の引き出しを増やすための貴重な財産となった。再び任される最終回のマウンドで、新たな武器を手にした左腕が真価を示す。

文=伊藤順一 写真=BBM
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