阿部前監督からの教え

巨人打線で欠かせない存在となった2年目の浦田
今季は思い描いていた以上のスタートを切った。不動の二塁手・
吉川尚輝が故障で出遅れたこともあり、開幕戦で「八番・二塁」のスタメンに抜てき。巨人・
浦田俊輔はそのチャンスを逃さなかった。
「昨年の終盤に何試合かスタメンで使っていただいて、その経験も踏まえて、2年目は『絶対にやってやる』という気持ちをオフから持っていました。その積み重ねが今につながっているのかなと思います」
好機をつかめた背景には、オフシーズンの準備があった。昨季は一軍投手への対応力不足を痛感。「打てなければ試合には出られない」。課題を明確にした上でバットを振り込み続けた。
「去年は一軍のピッチャーに対応できなかった。それが現実だったので、打撃を一番の課題として取り組みました」
その成果は数字にも表れている。7月25日現在、76安打を放ち、打率.281。打席での落ち着きが増し、安打を積み重ねることで出場機会も増えていった。
転機となったのは、バッティング練習への取り組み方だった。
「シーズン序盤は、来た球を打つだけというか、少し“なあなあ”になっていたんです。でも逆方向への打球や間の取り方を意識するようになってから、試合でも結果につながるようになりました」
練習を試合につなげる――。その考え方は、
阿部慎之助前監督から繰り返し教えられてきた。
「バッティング練習を、いかに実戦につながる内容にするか。それをずっと言われていました。今になって少しずつ形になってきたのかなと思います」
トップバッターの役割
もちろん現状に満足はない。
「まだまだ未完成です。今やっていることを継続しながら、もっと強いスイングや引っ張った打球も増やしていきたいです」
打撃の成長に伴い、打順も変化した。当初は下位打線を任されていたが、一番打者として起用される試合も増えている。
「下位では後ろにつなぐ意識でしたが、一番ではチームに流れをつくることを考えています。塁に出ることはもちろんですし、相手に球数を投げさせることも役割だと思っています」
一番打者には積極性だけでなく、状況判断も求められる。
「まだ難しいですね。例えば3ボール1ストライクで打ちにいくのか、四球を取りにいくのか。その判断は、試合を重ねながら少しずつ分かってきました」
積極性を貫く走塁
もう一つの武器が、チーム屈指のスピードだ。ここまでリーグ1位タイの25盗塁。スチールへのこだわりは明確だった。
「盗塁はスタートがすべてだと思っています。相手バッテリーのデータはもちろん見ていますし、クイックや送球タイムも頭に入れています。でも最後は反応ですね」
一歩目で勝負は決まる。
「スタートを切った瞬間に『行ける』『まずい』というのはだいたい分かります」
積極性も失わない。7月7日の
阪神戦(東京ドーム)ではディレードスチールを試みてアウトになったが、後悔はない。
「もちろん走ってはいけない場面もあります。でも、自分で行けると思ったら行きたい。その積極性だけはなくしたくないです」
失敗を恐れず挑戦する姿勢。それこそが浦田の持ち味でもある。
内野の複数ポジションを守り、塁に出れば相手へプレッシャーをかける。さらに打撃にも確かな成長が見えてきた。まだ「未完成」と自らを評する22歳だが、その伸びしろは計り知れない。
「絶対にやってやる」
シーズン前に胸へ刻んだ決意は、着実に現実へと変わりつつある。積極性を武器に、若武者はレギュラーの座を確かなものにしていく。
写真=BBM