初陣・岡田監督はアジアの強さ実感

プロ志望届提出については明言しなかった横浜高・織田[写真=BBM]
9月14日、「第14回 BFA U18アジア選手権」(9月7日〜13日、台湾・台北)で銀メダルを獲得した侍ジャパンU-18日本代表が帰国し、羽田空港で解散式を行った。
日本はオープニングラウンドの3試合をすべて4回
コールド勝利で勝ち上がったが、スー
パーラウンド第1戦の韓国戦では逆転負けを喫した。決勝進出へ後がなくなった台湾との第2戦では、今大会初登板となった
織田翔希(横浜高)が6回を3安打7奪三振1失点と好投。打線は四番・
山田凜虎(智弁和歌山高)、五番・
萬谷堅心(花巻東高)が適時打を放ち、2対1で勝利して、頂上決戦へと駒を進めた。
韓国と再びの対戦となった決勝は、相手エースの大型左腕、ハ・ヒョンスンの前に6回二死まで無安打。九番・
福島陽奈汰(東海大熊本星翔高)の右前打1本のみで8三振、無得点に抑え込まれた。守っては2回に守りのミスから先制を許し、5回も送球ミスからピンチを拡大し適時打を打たれるなど、失策が失点に絡み0対2で敗戦。2016年以来、3大会ぶり6度目の優勝はならなかった。
打てる力は最低限必要

今大会で初めて国際大会で指揮を執った岡田監督[東洋大姫路高監督][写真=BBM]
今大会で初めて国際大会で指揮を執った岡田龍生監督(東洋大姫路高監督)は「今回韓国、台湾と実際に試合をやってみて、やはりパワーの差もありましたし、技術的にも非常に(レベルが)高いなと。作戦面でもスクイズやいろんな作戦をされて、非常に野球が細かくなってきているなという感じを受けました。次、世界に向けてはもっとパワーアップするんだろうと思います」と、厳しさを実感した。
「やはりどの場面でもランナーを進塁させる技術っていうのはすごく重要。韓国、台湾も1アウトからでもセーフティーバントをしたり、足も使ってきます。そういう細かいところをやっていけたらなと思っています」と、「WBSC U-18野球ワールドカップ」が開催される来年もスモールベースボールを軸にしたチーム構想を継続する。一方、「走力、バントに目を向け過ぎると今度は打力がどうしても落ちてしまうので、それではアジア、世界では勝てないなと思います。やっぱり打てる力は最低限必要かなというふうには感じましたね」と、世界の投手に打ち負けない強さも求めていく構えだ。
アナリストの貢献度

智弁和歌山高の捕手・山田[左]と副将を務めた健大高崎高の外野手・石田。2人は夏の甲子園決勝で対戦、今大会で友情を深め、来年以降は大学球界で切磋琢磨する[写真=BBM]
また、今大会は初めてアナリストが帯同。新たな役目を務めた寒野雄太氏(筑波大大学院2年)については「本当に来ていただいてよかったです。ベンチでもイニングごとにキャッチャーの凜虎といろいろ話しながら次の守りに入ったり、紙で投手や打者のデータを貼り出してどういう攻め方だというのをすぐ分かるようにしてくれたり。僕ら指導者、スタッフは本当に喜んでいました。来年以降も続けてやっていただきたい」と、そのサポートに感謝を述べた。
注目の進路について言及

代表で主将を務めた小野[左]と織田[ともに横浜高][写真=BBM]
選手たちについては「(自校での)キャプテンが多かったので、物を運んだりゴミを拾ったり、そういった野球だけじゃなく雑用的なことも僕らが言わなくても動いてくれたので、すごくやりやすかった。小野中心に本当によくやってくれて、だからいろんな面でもうまくスムーズに進んだんだなと思います」と、岡田監督。
選手自身もチームワークの良さを実感していた。主将の小野舜友(横浜高)は「勝負の世界なのでやっぱり勝ちたかったという思いは今も変わらない。でも、それ以上にこの仲間たちと野球ができたのが良かったなと思います」とコメント。捕手の山田も「一緒に野球をしていて楽しい仲間たちで、これからもずっとこのチームで野球をやりたいと思っていました。次に会う時はお互い成長した姿を見せたい」と、次のステージでの再会に思いをはせた。
また、今大会で首位打者とベストナイン(外野手)の個人タイトル2冠に輝いた副将・石田雄星(健大高崎高)は「ちゃんとしたヒットがあまり出ていなかったけど、打ち損じを相手の連携ミスで内野安打にしたりというのは自分の足が生きたところじゃないかな、と。それでも必要な場面で頼ってもらえるようなバッターになるためにも、コンタクト力はこれから上げていきたい」と手応えと課題をつかんだ。
決勝進出の原動力となった織田は「初めて日の丸を背負って国を越えて試合をさせていただいて、本当に素晴らしい経験ができたと思っています。海外の選手はパワーもそうですし、もう体つきから違うなっていうのはあらためて感じましたし、これからの野球人生に素晴らしい財産になったと思う。それが生きるかどうかは自分次第だと思っているんで、しっかりもっともっとパワーアップして頑張っていきたい」。NPB、MLB双方から注目されている進路について、プロ志望届提出については「まだ(決めて)ないです」と答えたが、「大会を通して思ったのは、誰からも応援されるような愛される選手になって、長く野球を続けられるように。そんな選手になっていきたい」と、将来の視野を大きく広げた。
取材・文=佐野知香