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筒香嘉智だけではない 去就注目される「DeNAの大黒柱」は

 

自己最多の30本塁打をマーク


日本シリーズでは初戦に同点弾を放ったが、第2戦以降は1安打に終わった


 目の前で歓喜を爆発させたソフトバンクの選手たちを見て、DeNAの牧秀悟が三塁ベンチで悔しさをにじませた表情が印象的だった。日本シリーズで4連敗。第1戦から3試合連続延長戦に突入するなど熱戦を繰り広げたが、勝利にあと一歩届かなかった。第4戦は初回に佐野恵太の2ランで先制したが、4回に今年のシーズン途中までチームメートだった山本祐大、柳田悠岐の連続適時打で逆転を許すと、その後は試合の主導権を奪い返せず2対4で敗れた。

 牧はCSの6試合で打率.381、4本塁打、4打点の大活躍でMVPに輝き、日本シリーズの第1戦でも1点差を追いかける8回二死で松本裕樹の155キロ直球をバックスクリーンに運ぶなどマルチ安打と幸先良いスタートを切った。だが、第2戦以降は10打数1安打。相手バッテリーの徹底マークにあい、第4戦も4打数無安打に終わった。

 レギュラーシーズン3位から日本一に輝いた2年前の再現はかなわなかったが、大きな手ごたえをつかんだシーズンとなった。今年は4月下旬に「右太もも裏の肉離れ」で1カ月以上戦線離脱したが、6月に一軍復帰すると、7月以降は24本塁打と量産。自身初の30本塁打に到達した。他球団のスコアラーは「打球の角度が春先と夏場以降で明らかに違いました。本塁打を打つコツ、感覚を完全につかんだように見えます。状態が良いときはどこに投げても打たれる怖さがありました」と脱帽する。

申し分がないチームへの貢献度


 気になるのは今オフの去就だ。主将の筒香嘉智が今オフに海外FA権の行使を検討していることが報じられているが、牧も昨オフの契約更改で将来のメジャー挑戦を希望していることを表明している。同期入団の阪神・佐藤輝明が三冠王に輝き、リーグ連覇を置き土産にポスティングシステムで今オフにメジャーに挑戦することが決まった中で、自身の今後の野球人生をどう考えるか。

 チームへの貢献度は申し分がない。新人の2021年に打率.314、22本塁打、71打点と好成績を残して以降チームの主力として活躍し、23年は打点王、最多安打のタイトルを獲得。ただ、悲願のリーグ優勝を一度も達成していない。ポスティングシステムは球団の容認を得なければ実現しない。

ポスティングに対してさまざまな意見


 この制度については、さまざまな意見がある。野球評論家の堀内恒夫氏は、週刊ベースボールのコラムで以下のように語っている。

「NPBではいつの間にか、各球団がポスティングという制度については容認するようになった。日米で話し合いの末に成立した制度だが、皮肉なことにスター選手を売り渡す手段となっている。いくら本人が希望しているとはいえ、『令和の人身売買』と言われても仕方ないだろう。昨オフ、ポスティング制度を利用してブルージェイズとホワイトソックスに移籍した巨人・岡本和真とヤクルト・村上宗隆は、在籍していた球団にそれぞれ10億円以上の大金が支払われたと言われている。しかも、ポスティングで海を渡る選手はリスクを負わない。たとえ海の向こうで失敗したとしても、一時的に高額年俸を手にして、1、2年後にはなに食わぬ顔で帰って来ることができる。このままではNPBは草刈り場となり、MLBのマイナーと化しても不思議ではない」

 過去にDeNAからポスティングシステムでメジャーに挑戦した筒香はNPBで10年間、今永昇太(カブス)は8年間プレーして海の向こうに渡った。牧は大卒入団であるのに対し、筒香は高卒入団であることを考慮しなければいけないが、どのタイミングで球団がメジャー挑戦を認めるか判断が非常に難しい。

 牧は日本シリーズでソフトバンクに敗れた戦いを経験し、どのような心境になっただろうか。メジャー挑戦という夢を追いかけて球団と交渉するか、リーグ制覇と日本一を目指して来季もDeNAの一員で戦う決意を固めたか。終戦を迎えたばかりで、まだ心の整理がつかないかもしれない。メジャー球団の評価が高いだけに、去就が注目される。

写真=BBM
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