気合十分のマウンド

桜美林大・井上は入れ替え戦2回戦で悪い流れを断ち切り、チームに勝利をもたらした[写真=大平明]
11月2日【一部二部入れ替え戦】
桜美林大4-3東京経済大(1勝1敗)
首都大学秋季リーグ一部二部入れ替え戦2回戦。1回戦で先勝した一部6位の東京経済大と二部優勝・桜美林大が対戦した。先制したのは桜美林大だった。3回表、1年生の4番・森山惇(武相高)の右前適時打と佐々木純太郎(3年・日大三高)の犠飛で2点。一方、東京経済大もその裏、一死満塁から四番・渡邉楽意(3年・
西武台高)の中犠飛で1点を返した。その後も点の取り合いとなり、桜美林大は4回表に主将の高田真之介(4年・松山聖陵高)がレフト線へ適時二塁打。5回表には森山の二塁打をきっかけに内野ゴロの間に1点。東京経済大は4回裏に井手尾哲兵(1年・藤枝明誠高)がレフトへソロアーチを放った。その流れを止め、チームに勝利をもたらしたのが井上雅也(3年・日大豊山高)だった。
今秋は抑え役を務めている井上。登板は5回からで、いつもよりも早い出番となったが「自分が投げることは分かっていましたし、負けられない試合だったので『やってやる』と意気込んで最初から気持ちが入っていました」と振り返る。藤原悠太郎監督も「普段はもっと淡々と投げているのですが、今日は声も出ていましたし、気持ちが表れていました」と話すほど、気合十分のマウンドだった。
6回裏には一死一、二塁のピンチを迎えたが、三ゴロ併殺。「そこまで気負うこともなく、目の前の打者を一人ずつ抑えていくつもりだったのですが、インコースの真っすぐでうまく抑えられました」。9回裏は先頭打者に本塁打を浴び1点差に詰め寄られたが、後続は2者連続で三振。悪い流れを断ち切ってみせた。
「1人目はストレート、2人目はスライダー。三振は狙い通りでした」
最後の打者も思うようなバッティングをさせずに三ゴロに打ち取り4対3。東京経済大を下し「勝つ選択肢しかなかったので、うれしかったです」と
山本由伸(ドジャース)の言葉になぞらえて、この試合に懸けていた思いを表現した。
目標は150キロ
1年春からリーグ戦で登板している井上だが、秋に二部降格。以降4シーズンは二部でプレーしており、今春は主に先発を任されて2勝を挙げた。しかし、シーズン終了後に腰を故障。この夏はオープン戦で投げる機会がないまま、シーズンに入った。
「最初の2試合は調子が上がらなかったのですが、元々、試合を戦っていくなかで調子を上げていくタイプなので、それ以降は感覚を取り戻すことができました」
終わってみれば、秋季リーグは6試合にリリーフで登板し、通算で11回を投げて自責点どころか、失点もゼロの防御率0.00。藤原監督は「故障で出遅れたこともあってリリーフに回したのですが、後ろで投げるほうがボールが強い。そして、先発だけでなく、こうして抑えをやることは彼のキャリアにとっても良い経験になると思います」と話しており、井上も「先発だと先のことを考えながら投げることになりますが、抑えは短いイニングで最初から全力でいけるんです」と認めている。
最速148キロ。「これまでは下半身を上手く使えていなかったのですが、股関節の動きを意識して練習することでボールが力強くなってきていると感じています。目標は150キロです」。変化球はカーブ、カットボール、スライダー、チェンジアップを操る。そのなかでも武器となっているのはカットボールで「真っすぐの軌道からカクッと曲がる感じ。真っすぐだと思って振ると、左打者なら詰まってしまうボールになります」。
桜美林大は1勝1敗のタイとし、一部復帰へ逆王手をかけた。井上は「1年生の時に一部で投げているのですが、あの時のように緊張感に包まれるなかレベルが高い選手と戦いたい。それが自分のレベルアップにもつながると思っています」と話す。抑えとして3回戦でも登板することが見込まれるが「今日、5イニング投げたとかは関係ない。本当に負けられない戦いになるので、気持ちでぶつかっていきたい」と決意を語っている。
取材・文=大平明