新天地でのプレーを選択するまでに至った経緯は人それぞれだ。復活を期す者、ブレークを目指す者。いずれにせよ、彼らに期待されていることはチームを変革することだ。そこでパ・リーグから注目すべき5人の“新戦力”をピックアップする。 日本ハム・山崎福也 先発ローテを守り切る
FAで愛着のある球団を飛び出し、大争奪戦の末に北の大地での新たなチャレンジを決断したのは、「まだまだ伸びていくチームで、選手としてさらに完成していきたい」という思いがあったから。だが、気負いはない。キャンプでは2月16日に初のライブBPに登板し、「ドキドキした」と言いながらもチェンジアップをはじめとする変化球を低めに集めて打者を手玉にとった。新たな背番号『18』に求められているものは先発ローテを守り切っての規定投球回のクリア。そうすれば自然と残りの数字がついてくることは周囲も自身も分かっている。4月2日、
楽天との本拠地開幕戦での登板は内定。まずはエスコンFでファンに最高の姿を見せるため、状態を上げていく。
西武・甲斐野央 守護神を視野に入れる剛腕
新天地でハツラツとキャンプを過ごしている。今年1月、
ソフトバンクへFA移籍した
山川穂高の人的補償で西武のユニフォームを着ることになった甲斐野央。慌ただしい移籍となったが、守護神の座も視野に入れながら右腕を振っている。武器は昨年、平均球速155.3キロを誇った直球と被打率.170だったフォーク。ストライクゾーンにどんどん投げ込み豪快に打者をなで切るスタイルは健在だ。さらに、今キャンプではツーシームの完全習得も目指している。「1球種増えれば打者も嫌がると思う」。直球と同じ球速で、打者の手元で少し動く球種があればピッチングの幅が広がるのは間違いない。明るい性格でチームにもすぐになじんだ。背番号34がリリーフ陣を底上げさせる。
オリックス・吉田輝星 明確な意識を持って
覚悟を胸に春を過ごす。「ポジションは自分でつかむもの」。2022年に救援で51試合登板とブレークの兆しを見せるも、昨季は3試合登板のみ。心機一転、トレードで新天地にやってきた。とはいえ、自分と向き合うことに変わりはない。オフの間に
中嶋聡監督と会う機会があり、「『体重移動の方向がズレてるから、それに乗じてズレちゃうんだよね』という話をしてもらいました」と受けた助言を意識してブルペンで腕を振り、2月13日には紅白戦で1回を3人斬り。ただ、結果を見る時期ではない。「ちょっと出力を上げると崩れるなと感じた。強い真っすぐを投げるときにバランスがまだ合わない」と課題が口をつく。躍動感あふれる投球を──。起用法は未定も進化を遂げて先発ローテ入りを奪いにいく。
ロッテ・愛斗 打撃面でもアピール中
現役ドラフトで愛斗が西武から加入したことによって、ロッテの外野陣は「良い意味で」緊張感を増した。今季の支配下登録の外野手は11人。そのうち
ポランコは指名打者専門としても、10人の外野手が一軍の枠(5〜6人)を争うことになる。「守備なら誰にも負けない」と自信をのぞかせる愛斗は2月14日のサムソン(韓国)との練習試合に五番・右翼で先発し、3打数2安打1打点とバットでもアピール。
吉井理人監督が「ヒットの打席はもちろん、凡打の打席でもしっかり彼のスイングができていた。すごく良い内容だった」と称賛したように守備と強肩に定評がある愛斗が打撃でも結果を残せば、外野の定位置争いはさらにレベルアップするだろう。
ソフトバンク・A.ウォーカー ナイスガイの快音に期待
A.ウォーカー[ソフトバンク/外野手][写真=湯浅芳昭]
2人対1人の交換トレードは、その価値を高く評価してのことだ。新助っ人自身も「すごくワクワクしていて、ホークスで活躍するのが楽しみ」とチーム合流を心待ちにしていた。春季キャンプでは明るく陽気なキャラクターで早速、チームに溶け込み、「ウチでトップクラスの打球スピードだし、練習では丁寧にセンター方向に打つ。試合での対応が楽しみなナイスガイ」と
村上隆行打撃コーチ。2月12日に行われた今キャンプ初のシート打撃では、初打席に初球を左前打して初打点もマークした。「どんなときも、どんなヒットでも、うれしいよ。初戦、1球目は、より一層うれしいね」。守備と走塁には難があっても、やはり打撃は魅力。シーズンでも初打席から快音を連発する。