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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「遠い甲子園──歴史を変える難しさ」

 

小中学時代から愛知県内に名をはせていた元ソフトバンク巨人森福允彦[写真=BBM]は、甲子園未出場の豊川高に進むも、歴史を変えることはできなかった


あと一歩、二歩で涙 今夏も悲願のままで


 ドラえもんのどこでもドアの如く、日本中、どこへでも行けてしまう『バーチャル高校野球』のおかげで、野球好きの夏の過ごし方は一変した。取材者として実際に現場へ足を運ぶのが常であるべきなのだが、気になる日本中の高校をすべてナマでカバーするのは至難の業。それが気になる地方大会の試合映像をリアルタイムで次々と観ることができるのだから、こんなにありがたいことはない。

 沖縄の決勝では興南高とエナジックスポーツ高が延長を戦った。ライト前ヒットであわや勝ち越しというエナジック高のホームインを阻止したのは、ライトに入っていた興南高のエース、サウスポーの田崎颯士だ。その田崎がさらなるピンチでマウンドへ上がると島袋洋奨宮城大弥を彷彿させるアウトローいっぱいへ美しい軌道のストレートを投げ込んで見逃し三振、ピンチを凌ぐ。その裏、興南高はサヨナラで勝って甲子園出場を決めた。

 神奈川大会の5回戦では、2点ビハインドの9回ツーアウト、ランナーなしまで追い詰められた横浜隼人高の大逆転劇を見た。七、八番の二人がフォアボールを選んで、代打の宝藤星太がタイムリーを放つ。つなごうという強い意志が逆転を呼んだ。土壇場でバッテリーミスを誘ったのは、追い込まれていたのに低めのボール球に手を出さないバッターの冷静さだ。こういう選手の胆力は横浜隼人高が掲げる“氣愛”の賜物なのだろう・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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