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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「現状維持では取り戻せないニッポンのプロ野球の太陽」

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1974年に長嶋茂雄[左]、2019年にイチロー[右]が現役を引退。現在はドジャース・大谷翔平がプロ野球界の太陽であり続けているが……[写真=BBM]


選手でなくなって監督になってもなお


 2025年──ニッポンのプロ野球界は、“長嶋選手”がいなくなって半世紀の時を経た。今から50年前、1975年の今ごろと言えば、現役を引退したばかりの長嶋茂雄がジャイアンツの監督となり、長嶋選手がプロ野球にいない“世界線”が幕を開けた。

 背番号90の長嶋新監督が掲げたのは「クリーン・ベースボール」……長嶋は就任会見でこう話している。

「私が狙うのはクリーン・ベースボールです。クリーンという意味はクリーンヒットという言葉もあるように、鮮やかな、胸のすくような、ということです。これからのジャイアンツはクリーンです」

 当時の長嶋が色紙に書き添えていた座右の銘は“快打洗心”──クリーンヒットを打つために、心の中の先入観を捨てて囚われを洗い清めること。当時の週刊ベースボールに掲載された着物姿の長嶋が正座をして日本刀を手にするグラビアの写真は、今も印象に残っている。就任1年目の75年、長嶋ジャイアンツはベロビーチでキャンプを行った。フロリダの真っ青な空とデザインを一新したジャイアンツの新しいユニフォームが目映(まばゆ)く、これも印象に残る。選手でなくなった長嶋は、監督になってもなお、紛れもなく“日本球界の太陽”だった。

 今から10年前・・・

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石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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