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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「“四半世紀”の時を経て思う語り継いでいくべきこと」

 

イチローのメジャー1年目の01年以来となる地区優勝を果たしたマリナーズ。24年前にはできなかったシャンパン・ファイトで喜びを爆発させた。写真はダン・ウィルソン監督[左]とイチローを尊敬するフリオ・ロドリゲス[写真=Getty Images]


イチローのメジャー初優勝 目前に訪れた「9.11」の悲劇


 今年の8月、『シミュレーション〜昭和16年夏の敗戦』という『NHKスペシャル』を観た。作家の猪瀬直樹さんが原作を書いているこの作品は、太平洋戦争の開戦前夜、総力戦研究所で行われたアメリカ戦のシミュレーションをつぶさに描き、当時の日本がいかにして戦争へと突入していったのか、その空気を教えてくれている。

 昭和39年生まれのベースボールライターにとって昭和16年と言えば生まれる23年前。両親はすでに生まれており、そんなに遠くない過去のはずなのに、非軍事化と民主化への転換が図られ、高度経済成長の中で食うに困った記憶もなく、戦争はどこか遠い存在だった。だから“四半世紀”という年月は、自分の生まれ年と日本の戦争を結びつけると、とてつもなく遠い過去だと感じていた。

 9月にはNHKで『映像の世紀バタフライエフェクト〜9.11ラストボイス』を観た。2001年にアメリカで起きた同時多発テロ。犠牲になった人々が残した最後の声を集めたこの番組を観ていたら、24年前の記憶が生々しく蘇ってきた。2001年9月11日にはアメリカにいたからだ。ほぼ同じ“四半世紀”という時間なのに、昭和16年と昭和39年は長く感じられて、2001年と2025年をあっという間に感じるのは、2001年の空気を我が身で体感しているからなのだろう。

 ならば――野球ではどうか。2001年9月11日、イチローのメジャー1年目のシーズン、マリナーズは地区優勝へのマジックを2としていた。イチローは初めて味わうアメリカでの優勝の味を心待ちにしていた。シャンパンを浴びて、シガーをふかしながら・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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