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石田雄太コラム「手弁当の西本聖“引退試合” 多摩川グラウンドに馳せる想い」

 

1995年1月21日、多摩川グラウンドで西本聖氏の手作りの引退試合が行われた。長嶋茂雄監督も駆けつけ、試合後には固い握手を交わした[写真=BBM]


もう一度、長嶋監督と握手をしてもらいたい


 キャンプが近づく1月下旬、二子橋から丸子橋へ続く多摩堤通を車で走ると、胸の高鳴りを抑えられなくなる。ジャイアンツ好きにお馴染みのおでん屋さんは閉店してしまったが、今も河川敷には野球のグラウンドが並ぶ。そして思い出すのはあの日の賑わい……あれからもう31年が経ったのか。

 1995年1月21日。

 よく晴れた、寒風吹きすさぶ多摩川グラウンドにジャイアンツの選手が奏でる球音が久しぶりにこだました。この日、西本聖の“引退試合”が行われたのである。といっても有志が集っての手弁当でのイベントだった。当時、西本を取材していたテレビ局の若いディレクターやアナウンサーが、西本を送る舞台を作ろうと奔走した。通算165勝、沢村賞も獲得した大投手の引退試合がなぜ手弁当でなければならなかったのか……それは歴史的な“10.8”と関係があった。

 その3カ月前、1994年10月8日といえば、ともに最終戦となるジャイアンツとドラゴンズの直接対決、勝ったほうが優勝という大一番がナゴヤ球場で行われた。実はこの年・・・

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石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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