チームの未来を担う若手にクローズアップする、インタビュー連載がスタート。第1回は、セ・リーグ覇者のヤクルトから。どんな場面でも腕を振り、指揮官からの信頼を得た2年目右腕が登場。シーズン終盤には僅差でもマウンドに上がり、強気の投球で、打者をねじ伏せてきた。大きく吠えて気合いを入れる、まさに“気持ちで投げる”投手だ。 取材・構成=依田真衣子 写真=榎本郁也、BBM 
9月14日の阪神戦[神宮]の5回、イニング途中からマウンドに上がって一死満塁のピンチを併殺打で切り抜け、ガッツポーズ
成長の秘密
大商大からドラフト4位で入団した昨季は、5試合に登板して防御率5.00。即戦力を期待されたが、応えることはできなかった。しかし2年目の今季は、ロングリリーフなどもこなして高津臣吾監督からの信頼を得た。右腕の成長の裏には、二軍での鍛錬と、周囲からの多くの助言があるという。 ――まずは優勝、おめでとうございます。
大西 ありがとうございます! 自分的にも、今年は頑張れたかなと思っているので、うれしいです。
――今季は楽しい思いと苦しい思い、どちらが大きかったですか。
大西 優勝が決まったときは、もちろんうれしい気持ちが大きかったんですけど、やっぱり優勝が決まるまでは少し苦しかったですね。アピールしないといけない立場だし、そのためには抑えないといけないっていうプレッシャーがあったので。それでも、使っていただけることはうれしいんですけどね。だからこそ、もっとやらないと、と思っていました。
――開幕は二軍スタート。今季の一軍初登板は、5月28日の
オリックス戦(京セラドーム)。初回、二死満塁の場面でのリリーフでした。
大西 あのときは「チャンス来た!」と思って。今季初の一軍でしたし、ツーアウトだったので、一人抑えればいいという感覚で、簡単に考えていました。アピールするチャンスだと思いましたね。「ファームでしっかりやってきたことを、生かす時が来た!」みたいな。
――見事に遊ゴロでピンチを切り抜けました。ファームでやってきたことというのは。
大西 実は、今年のオフ、自分的には失敗したと思っているんです。
――失敗?
大西 はい。“出力”を上げようとして、上がらなかったんです。出力というのは、球速だったり球の強さだったりのことです。ボールのキレは、去年よりはマシだと思うんですよ。でも、球速は春季キャンプに入った時点で落ちていたので、「あ、やばい。調整失敗した」と。なので、2月から出力を上げる方向を変えて、ファームで取り組んで……ようやく思うようなボールを投げられるようになったのが、一軍に上がった5月でした。
――とはいえ、しっかり方向転換して修正できた部分は、評価できることではないですか。
大西 でも、最初からしっかり調整できていれば、キャンプでもっとアピールして、開幕から一軍に入れたのになっていう悔いはちょっとありますよ。でもまあ、一度失敗したことは、自分にとって良い経験になったと思います。
――失敗した要因というのは。
大西 自主トレでは、主に下半身のトレーニングで、上半身はあまりしなかったんです。あと・・・
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