期待の若手外野手がブレーク中だ。2020年ドラフト6位で入団した蝦名達夫が外野のレギュラー争いで存在感を発揮している。打って、走って、守って、3拍子そろった積極的なプレーでチームに貢献する。 取材・構成=滝川和臣 写真=井田新輔、高原由佳、BBM 
チャンスメークに、進塁打、状況に応じた打撃ができるのが強み。今季は粘り強さも光る
自分がどうあるべきか
入団から2年、ファームでは結果を残すも一軍の厚いカベを乗り越えられずにいた。苦い思い出として残るのは、昨年9月9日の巨人戦(横浜)だ。9回裏二死一、二塁のチャンスに代打で登場すると、畠世周のスライダーに反応できず、サヨナラの好機で見逃し三振に終わった。あの屈辱をバネにした。3年目の今季、蝦名達夫は何かが吹っ切れたように果敢にバットが振れ、一軍に定着しつつある。 ──3年目にしてチャンスをものにしています。
蝦名 まだ満足はできませんが、スタメンで出場する試合が多くなっているのは、多少なりともアピールできているのかなと思っています。攻守走で積極的にプレーする姿勢が、監督やコーチに伝わっているのだとすればうれしいです。
──昨年まで代打の出場も多かったですが、代打とスタメンでは準備、気持ちの持ちようなどに違いがあると思います。
蝦名 スタメンは守備のリズムの中で打席に入ることができるので、少し気持ちの余裕があります。代打は一打席に懸ける強い思いで打席に立って、1球、2球で勝負を決めなきゃいけない。去年までは、なかなか打席の中で気持ちに余裕が持てなかったというのが、正直なところです。
──今のポジションをつかむまで、悔しい思いもいっぱいしました。昨季9月にはサヨナラのチャンスに代打で起用され、見逃し三振を喫した場面もありました。あとのときの経験が今に生きている?
蝦名 今年、積極性を目標に掲げるのも、過去に消極的な失敗があったからです。その経験が、今こうして多少なりとも結果につながっていると思いますし、昨年の悔しさを糧にできているというか、そういうミスがあったから今があるのかなと。
──昨年はイースタンで打率3割超えと数字を残すものの、一軍では結果が残せない日々が続きました。一軍と二軍では何が違うのでしょうか。
蝦名 実は違いはそれほどなくて、自分自身が“変えて”しまっていたのかなと思います。相手を見て、自分が行動してしまう。「一軍の投手はレベルが高い……」と変に意識してしまう自分がいたのかなって。それが率直な感想です。いかにファームでやってきたことを一軍の舞台で出していくのか。そのために今年は積極的に行こうと目標を立てました。それを貫き通せば、おのずと結果はついてくるんじゃないかと捉えています。
──変える意識はなかったのに、二軍と一軍では自分で変えてしまっていたと。
蝦名 そうですね。ファームの横須賀と、一軍の横浜スタジアムでは同じメンタルではなかったです。でも、今は相手どうこうじゃなく、自分自身を中心に置けるようになっています。
──技術の面では、右方向への意識が感じられます。
蝦名 打順は一番、二番に入る機会もあって・・・
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