完全燃焼し、あるいは志半ばでユニフォームを脱ぐことを決意した選手たちがいる。2023年シーズン限りで現役を引退した主な選手たちの「ラストメッセージ」をお届けしよう。 写真=BBM 【後編】はこちら 松田宣浩[巨人/内野手/40歳] これからも“熱男”
「こんなに幸せな野球選手はいない」巨人移籍後も「熱男」コールの音量は変わらず、球団の枠を超えて愛された
常勝軍団のリーダー 涙がとめどなくあふれた。そして、最後はとびきりの笑顔が弾けた。10月1日、東京ドームでの
ヤクルト戦後に行われた引退セレモニー。スピーチでも、場内を一周しているときも、ファンから声援が飛ぶたびに涙をぬぐう。止まらぬ「熱男」コールに応えるように、笑顔で最後の「熱男」パフォーマンスを披露して、18年間のプロ野球生活に別れを告げた。
「成績が出ているときも、出ていないときも、『40歳まで現役でいる』というのは自分の中にあった」
39歳、あと1年。常勝軍団のリーダーの1人として6度のリーグ優勝、7度の日本一に輝きながら、昨年のオフに新天地を求めて
ソフトバンクを飛び出したのは、その強い思いがあったからだ。巨人のユニフォームを着て5月17日の誕生日を迎えた時点で「いつやめてもいい」という気持ちが芽生え、9月上旬に2度目の二軍落ちとなった夜、妻に引退の思いを伝えた。
かつてはトリプルスリーも狙えると言われた「攻守走」に、「声」を加えたプレースタイル。
川崎宗則(元ソフトバンクほか)がMLBに旅立った2012年、「(自分に代わって)元気を出してくれ」と託されてからは「四拍子」を追求してきた。15年にはチームスローガンである「熱男」との出合いがあり、自らの代名詞ともなっていった。巨人移籍後も「熱男」コールの音量が変わることはなく、球団の枠を超えて愛される選手であることの証明となった。
「スーパースターのような数字は残せなかったけど、こんなに幸せな野球選手はいない」と語るが、通算1832安打、301本塁打、991打点、135盗塁を積み重ね、三塁手部門で7年連続を含む8度のゴールデン・グラブ賞に輝き、何度も日の丸を背負って侍ジャパンでも躍動した。「40歳までプレーして、どれだけの数字が残ったかというのが大事。よくこれだけの数字が残ったな、よくやったなって自分を褒めてあげたい」と語る笑顔はすがすがしい。
ユニフォームを脱いでも、夢は続く。「松岡修造さんみたいな熱い人間になりたい」。引退したからといって「熱男」が静かになるわけではない、これまでやってきたことをやるだけ。目指すべきスタイルは変わらない。その心は「自分らしく野球界のために恩返しがしたい」ということ。もちろんその中には、「将来は指導者として」という思いもある。誰よりも発したエネルギー、まばゆい光は、どんな形であっても、これからも球界を明るく照らしてくれるはずだ。
【経歴】 ソフトバンク06希-巨人23
【通算成績】 1922試合、1832安打、301本塁打、991打点、135盗塁、打率.265。
【主なタイトル&表彰】 〇ベストナイン2018
〇ゴールデン・グラブ賞2011、13-19
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