知将・カウンセル新監督が有望株の若手をいかにうまく使い、地区優勝に導くか楽しみだ
大谷翔平と
山本由伸が在籍するドジャースばかりに注目が集まっているが、
鈴木誠也と
今永昇太のカブスもナ・リーグ中地区の優勝候補であり、10月のポストシーズンでぶつかれば面白い戦いをすると思う。
カブスはオフに、5年総額4000万ドルとMLB史上最高額で同地区のライバル、ブリュワーズのクレイグ・カウンセル監督を引き抜いた。単純に戦力を比較すると、ビッグマーケットのカブスのほうが常に上であるが、スモールマーケットのブリュワーズは過去6年間で3度の地区優勝、5度のポストシーズン進出と成績で上回っていた。
カブスのジェド・ホイヤー編成本部長は、それはカウンセル監督が選手たちの能力を最大限に引き出し、試合中の采配も的確だからだと感じていた。昨季のカブスはポストシーズン出場に1勝足りなかった。最高の指揮官を迎えれば、次の段階に進めると考えたのである。
2月14日、バッテリーキャンプ初日。カウンセル監督は「現時点では、互いを知り合い、個々のルーティンを理解していく段階。そこから関係を構築する」と説明した。カウンセル監督は今永のブルペンも見た。今永は1週間前からキャンプ地入り。メジャー1年目でアジャストすることが多くなるが、「自分がこうだからではなくて、自分の考え方とかやってきたことはここではすべて違うと思って、新しいことを取り入れていきたい。ただ監督には自分のやってきたことを出してくれればいいと言われているので、バランスをとりながら」と話している。
鈴木も野手組のキャンプは始まっていなかったが、イアン・ハップらほかの主力打者とフリー打撃。中堅バックスクリーンへ連発で叩き込んだ。鈴木は2年間ブリュワーズ戦を得意としていて打率.312、出塁率.432、長打率.558。カウンセル監督が抑えられなかった鈴木をどう起用するかも興味深い。
カブスは昨季活躍したコディ・ベリンジャーと再契約の可能性が高いと言われてきた。しかしながらスコット・ボラス代理人の要求額が高いため、2月中旬でも合意できていない。ホイヤー編成本部長は「市場に良い選手がたくさん残っていて、コンタクトを取ってはいるが、すでに2月14日。ゲームにたとえればすでにクローザーがウォーミングアップを始めた段階。今ここにいる選手に焦点を絞っている」と話している。
昨季中堅と一塁を守ったベリンジャーがいなくても、中堅には21歳の若手有望株のピート・クルー・アームストロングがいる。昨季は2Aと3Aで20本塁打、37盗塁、守備はゴールドグラブ級だ。一塁もドジャースからトレードでパワーヒッターの26歳、マイケル・ブッシュを獲得。MLB公式サイトは1月下旬、若手有望株トップ100のリストを発表したが、カブスは上記の2人に加えケード・ホートン投手など7人も入っている。
カウンセル監督は若手を抜擢するのも得意だ。「うちは若手が強みだし、このキャンプでも一番重要な部分」と張り切っている。ちなみに公式戦でのドジャースとの直接対決は4月5日からと9月9日からの2シリーズ。果たして、ドジャースを脅かす存在になれているのか?
文=奥田秀樹 写真=Getty Images