
ドジャース一筋11年目のバーンズ。卓越したリードとフレーミングに定評のあるベテラン捕手だが、現地時間5月14日にDFAとなった。地区1位を走っているドジャースだが、功労者を切らないといけないほどのチーム状況の中で戦っている
ドジャースがシーズン序盤に思い切った動きに出た。ベテランの控え捕手オースティン・バーンズ、35歳とユーティリティーの
クリス・テイラー、34歳の2人を放出したのだ。2015年、16年からそれぞれドジャースの黄金時代を支えてきたベテランである。今季の年俸はバーンズが350万ドル、テイラーが1300万ドルで、残りすべてを支払わねばならないが、それでも切った。若手捕手の
ダルトン・ラッシング、24歳とキム・へソン、26歳を起用したいからだ。
アンドリュー・フリードマン編成本部長は「今週はわれわれ全員がとても感情的になってしまった。2人ともチームの大きな瞬間の中に何度もいた選手で、今のドジャースの文化に大きな足跡を残してくれた。それだけに難しい決断。ただ、チーム状況、地区優勝争いなど総合的に判断した結果、チームの利益につながると感じた。ワールド・シリーズに勝つための最強の布陣を組む上で必要な判断だった」と説明している。
早く動いた理由は、今年のナ・リーグ西地区の優勝争いが極めてハイレベルになると見ているからだ。ここまでドジャースは30勝19敗で地区首位だが、2位ジャイアンツは29勝20敗で1ゲーム差、3位パドレスが27勝19敗で1.5ゲーム差、そして4位のダイヤモンドバックスも26勝23敗で4ゲーム差なのだ。
ドジャースの打線は強力でチームOPSは.819でメジャー2位だが、投手陣の防御率は4.22で同23位。元凶は長いイニングを投げられない先発投手陣で、224.1イニングは30球団中最下位である。ブルペンの負担が増え、現状、ブルペンも打たれ始めている。
ドジャースは過去2年間、資金力を生かして
ブレイク・スネル、
タイラー・グラスノー、
山本由伸、
佐々木朗希と大物投手を次々に獲得、他球団のファンから不公平だと批判された。しかし、ふたを開けてみるとケガ人が相次ぎ、現在、期待に応えられているのは山本だけだ。
責任者のフリードマン編成本部長は現地時間5月18日の会見で「オフシーズンには先発投手陣を万全に整えるために補強を行い、このシーズン中に復帰すると見込んでいた選手も複数いた。それなのに、次々と故障者が出てしまう。夜も眠れないほど『何ができるのか』と考え込んでしまうし、本当に歯がゆい。次から次へと現れる問題を、もぐら叩きのようにどうつぶしていくか──頭の中はそのことでいっぱい」と頭を抱えた。
問題は投手であって野手ではない。それでも余裕がないから、功労者の2人を切った。「開幕時点では、まさか5月にこんな判断を下すとは思っていなかった」とフリードマン。ラッシングは今季マイナーで打率.308を記録し、メジャー登場後も10打数4安打と好スタートを切っている。素晴らしい打者であることは確かだ。一方、キムはメジャー昇格後、打率.378をマークし、3盗塁、9得点。守備が上手だし電光石火のスピードで試合に影響を与えている。
2人はベテランの多いチームに若々しい活力とエネルギーを注ぎ込んでくれる。とはいえ問題なのは投手陣。立て直せないとレベルの高いナ・リーグ西地区で戦っていくのは難しいのである。
文=奥田秀樹 写真=Getty Images