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【MLB】MLBストーブリーグ ドジャース静観の裏で、読みにくい動き!?

 

今オフのストーブリーグの目玉の1人でもあるディラン・シースと契約したブルージェイズ。あと少しのところでワールド・シリーズを制覇できなかった。先発投手を中心に積極的に補強をしている


 このオフのストーブリーグは、過去2年とは様相が大きく異なる。2年前には大谷翔平山本由伸、1年前にはブレイク・スネルという超大物が市場を席巻し、ドジャースが圧倒的な資金力とブランド力で主導権を握った。しかし今オフのドジャースはどうしても欲しい選手がいないという事情もあり、静かな動きにとどまっている。

 代わって積極的なのが、ワールド・シリーズで最後まで競り合ったブルージェイズだ。彼らは結果こそ安定しないものの才能は抜群のディラン・シースと7年総額2億1000万ドルで契約し、さらにKBOで活躍したコディ・ポンセとも3年総額3000万ドルで合意した。

 明確に先手を打った格好だ。こうなると注目されるのは、同地区のライバルであるヤンキースの動向である。年間7億ドルの売上を誇るMLB屈指のビッグマーケット球団だが、ハル・スタインブレナーオーナーは「理想は年俸総額を下げること」と発言しファンを失望させている。

 しかし、ニューヨークのメディアに「今のヤンキースはドジャースに比べてマイナー(格下)」などと揶揄され、黙っているとは考えにくい。果たしてどう動くのかが大きな焦点だ。

 今オフ市場最大の目玉であるカイル・タッカーは総額4億ドル規模と見られ、行き先候補にはヤンキースの名が挙がっている。その次のグループはすでに契約したシースをはじめ、ボー・ビシェット、今オフMLB挑戦を目指す村上宗隆、フランバー・バルデス、今井達也らが並ぶ。

 予想契約額はいずれも1億5000万〜2億ドル規模。村上にはマリナーズとヤンキース、今井にはヤンキースとオリオールズが興味を示しているとされる。さらに岡本和真も1億ドルには届かないものの、ダイヤモンドバックスやレッドソックスが関心を寄せている。

 一方、今井獲得の本命と見られていたジャイアンツは、このオフは巨額のFA投資を控える方針であると判明した。ヤンキースはコディ・ベリンジャーとの再契約も視野に入れていると言われており、最終的にどの選手を獲得するのか注目が集まる。

 興味深いのは、スモールマーケット球団の動きが活発化している点だ。パイレーツやマーリンズが、これまで縁のなかったレベルのFA選手、カイル・シュワーバー、マイケル・キング、さらには岡本にアプローチしているという。背景には収益分配制度をめぐる対立がある。

 ビッグマーケット側は、スモールマーケット球団が与えられた分配金を本当に戦力補強に使っているのかと疑念を抱いている。事実として、マーリンズの2025年総年俸はMLB最低の6700万ドル、パイレーツは8800万ドルで26位。分配金の存在を考えれば、もっと支出できたはずだ。

 こうした状況下で両球団は、「われわれには支出する意思がある」とアピールするため、FA争奪戦に顔を出している。MLBの経済構造は、次の労使協定で大きく変わる可能性が高い。

 争点となるサラリーキャップの導入は不透明だが、収益分配システムの改訂は避けられない。ひょっとすると、3人の日本人選手のうち誰かが意外な球団と契約するかもしれない。それほど今オフは流動的で、政治的な要素も含む市場になっている。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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メジャーから発信! プロフェッショナル・アイデアの考察[文=奥田秀樹]

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