
現地時間3月29日のブリュワーズ戦でメジャー史上4人目の開幕から3試合連続の本塁打を放った。26歳と若いため、今後の成長曲線をどう描くだろうか
村上宗隆がMLBに挑戦するにあたり、比較対象として挙げられたのが、23歳、ナショナルズのジェームズ・ウッドだ。身長198cm、体重106kgの巨漢で、2025年はナ・リーグ最多の221三振を喫しながらも、31本塁打、OPS.825、94打点を記録。三振は多いが、当たったときの生産性が極めて高く、オールスターにも選出されるなど、価値ある打者として評価されている。
今季のウッドも、その典型的な「波」を見せている。開幕から最初の14打席で7三振。4試合目に二塁打と2四球を記録したが、その試合でも2三振を喫し、空振り率は48.7%に達していた。しかしその後、3試合連続本塁打を含む7安打4四球と一気に爆発し、長打率.510、OPS.832まで回復した(現地時間4月8日時点)。6日のカージナルス戦では、8回裏3点ビハインドの場面で、2-2から99マイルの直球をとらえ、打球速度114.3マイルの中越え同点本塁打。この一打をきっかけにチームは逆転勝利を収めている。
村上もまた、メジャーでもケタ外れのパワーを持つと評価されてきたが、同時に懸念されていたのが三振の増加だった。実際、12試合終了時点で三振率は32.6%(リーグ平均22.2%)、空振り率は37.9%(同25%)と、いずれもリーグ平均を大きく下回る水準にある。それでも4本塁打が効いており、打率.205、出塁率.333、長打率.513、OPS.846と、総合的な評価はむしろ高い。
一方で、現地で指摘されているのが独特のバットの構えだ。多くの打者が肩の上や後方にバットを構えるのに対し、村上は体の前方、ホームベース側へ突き出すように構える。投手がモーションに入ると、そこからゆっくりとバットを引き込み、通常の打撃フォームに移行するが、始動がわずかに遅れると、内角の速球に差し込まれるリスクが高くなる。実際、スタットキャストのデータを見ても傾向は明確。外角球には強く、高い打球品質を示している一方で、内角では反応も遅れがちで、空振りが増えている。
もっとも、内角を苦手とする打者がMLBで通用しないかといえば、決してそうではない。MLB史上最多の三振記録(2597)を持つのは、1967年から87年にかけて
ヤンキースなどでプレーしたレジー・
ジャクソンだ。それでも彼は4度の本塁打王に輝き、ポストシーズンでは「ミスター・オク
トーバー」と称される勝負強さを発揮した。ジャクソンはこう語っている。
「リーグの誰もが、俺が内角球に弱いことを知っていた。それでもやっていけたのは、多くの投手がそのコースで失投するのを恐れたからだ。パワーの脅威というのは、打席で持ち得る最高の武器の一つなんだ」
当時は現在ほど三振が多い時代ではなく、ジャクソンの通算打率も.262と、現代の基準なら悪くない。それでも彼は三振することを恐れず、一定数のアウトを受け入れて、一振りで試合を決定づける長打を狙った。
そのスタイルこそが、彼を殿堂入りへと導いた。そして現代の野球ではその価値観はより尊重されている。ご存じ
カイル・シュワーバーは、2度の三振王で通算打率も.231だが、2度の本塁打王で高く評価されている。村上もここまでヒットは8本にとどまるが、そのうち4本が本塁打だ。投手に怖がられる資質を、すでに示している。
文=奥田秀樹 写真=Getty Images