
カージナルスからダイヤモンドバックスへ移籍したヌートバー。環境が変わっても持ち前の明るさでチームに早速溶け込んでいる。打球角度を課題とし、打撃を磨いている最中。どんな進化をするのか、楽しみだ
ダイヤモンドバックスのラーズ・ヌートバー外野手が、新天地でポストシーズン進出を目指している。トレード期限を前にカージナルスから移籍。現地時間8月7〜9日の本拠地でのドジャース3連戦では、侍ジャパンでともに戦った
佐々木朗希、
山本由伸の両投手とも対戦した。新しい環境について「チームメートが素晴らしい。みんなのおかげで移籍をすごく楽にしてもらった」と話すなど、早くもチームに溶け込んでいる。
そのヌートバーが現在、打撃で取り組んでいるテーマがある。今季の平均打球速度は91.7マイル(約147.6キロ)で、MLB平均の88.6マイル(約142.6キロ)を上回る。一方、平均打球角度は6.1度と、MLB平均の12.5度を大きく下回っている。ボールを強くとらえる力はある。課題は、その強い打球にいかに適切な角度をつけることができるかだ。
ドジャースとの3連戦では、その特徴を象徴する2つの打球があった。佐々木からは甘く入ったスプリットをとらえ、打球速度約103マイル、角度20度の二塁打。一方、山本からはさらに速い約107マイルの打球を放ったものの、角度はわずか7度。二塁手
トミー・エドマンの正面を突くライナーとなった。本人も数字が示す課題を自覚している。
「打球がもう少し上がったほうがチャンスはある。7度だったらトミーの胸のところに行ってしまうからね」
おそらく打球を上げることがカギと言い、そのために打撃メカニクスにも微調整を加えている。「少しね。ボールをどこで打つのか、コンタクトする位置を変えることを意識している」と明かした。
ヌートバーのメジャー通算OPSは.740。本塁打もシーズン14本が最多だ。それでも今回、ダイヤモンドバックスが若手有望株を放出してまで獲得したのは、打球角度を改善できれば、優れた選球眼、強い打球、平均以上の外野守備を兼ね備えた、価値の高いレギュラーになれる期待があるからだろう。
2025年のヌートバーは、両かかとの具合が悪く、走塁だけでなく普通の日常生活にも影響していた。オフに手術を受け、26年春も復帰が遅れた。しかし今は完治し、全速力で走れるし守備力も元に戻った。
さて、そのヌートバーに、ナ・リーグのサイ・
ヤング賞候補であるブリュワーズのジェイコブ・ミジオロウスキーと山本を比較してもらった。ミジオロウスキーとは過去に対戦し、8打数3安打2打点、2三振。二塁打を2本放っている。一方、山本には8月8日の試合を含め6打数1安打3三振だ。
「ミジオロウスキーは、明らかにメジャーで最高の速球を持っています。105マイルですからね。それに、朗希と同じようにエクステンションがすごくいい」
リリースポイントが打者に近い分、100マイルを超える速球がさらに速く感じられる。一方の山本の難しさは違う。「山本も非常にいい速球を持っています。でも、それだけではなく、本当にいろいろな球種を持っていて、どれも制球良く投げられる。とりわけスプリットは世界で一番かもしれない」と説明した。
では、もし彼にサイ・ヤング賞の投票権があったら、どちらを選ぶのか。ヌートバーは少し考えて笑った。
「ジェイコブ山本かな、半分ずつ。五分五分だね」
文=奥田秀樹 写真=Getty Images