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牧野[右]は巨人での選手経験はなかったが川上監督[左]から重用され、史上空前の9連覇に貢献した[写真は1963年]
ドジャースの野球を巨人に植え付けた
のちに「川上野球の知恵袋」、「V9の頭脳」と呼ばれる
牧野茂がコーチとして巨人に入団したのは、1961年7月のことであった。
きっかけはデイリースポーツに書かれた巨人戦の戦評だった。60年オフに
中日を退団した牧野は、同紙の評論家として、鋭く巨人の戦術不備を指摘していた。その記事が、巨人監督1年目の
川上哲治の目に留まったのである。
批判ではあったが、単なる結果論や中傷ではなかった。自分であればこうするという対案が必ずあった。川上は、そこに自分の目指す野球を補う理論があると感じた。
川上は牧野にコーチ就任を依頼する。それは、コーチとは生え抜きが務めるものと決まっていた当時としては異例のことであった。おまけに牧野は選手としての実績が乏しかった。当初は迷っていた牧野だったが、恩師・天知俊一(元中日監督)の後押しもあってこれを引き受けた。川上は牧野に言った。
「ドジャースの野球を巨人に植え付けてくれ。それが君の仕事だ」
川上の目指す野球。それは・・・
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