
前年秋のドラフトで8球団が競合した大物ルーキー・野茂にプロ初の本塁打を浴びせるのは自分だと門田は準備し、そのとおりに実現させた
すごい投手から本塁打という目標
「ノモって、どんな投手なんや?」
オリックスの主砲・
門田博光が記者たちにそう尋ねて回ったのは、1989年のオフであった。「ノモ」とは、この年の11月26日に開かれたドラフト会議で史上最多の8球団からドラフト1位で指名され、近鉄への入団が決まった剛腕・
野茂英雄のことである。
「すごい投手です」。記者たちは口をそろえて言った。とてつもない剛速球を投げる、フォークは鋭く落ちる……。それを聞いて門田は思った。目標ができた、と。
門田はパ・リーグを代表するホームラン打者だった。もともとは攻守走を兼ね備えた選手だったが、79年2月に右足のアキレス腱が断裂し全力疾走ができなくなってからは、より長打力に磨きをかけた。身長は170cmと小柄。それでも1キログラムのバットを内臓がねじ切れんばかりにフルスイングして、打球をスタンドに運んだ。
全打席でホームランを狙うと公言する門田の打棒は、年齢を重ねても衰えを知らなかった。南海(現
ソフトバンク)時代の88年には、40歳にもかかわらず打率.311、44本塁打、125打点という驚異的な成績を残し、本塁打王と打点王に加えMVPまで獲得。「不惑の大砲」と呼ばれた。89年も「ブルーサンダー打線」と呼ばれたオリックス強力打線の中軸を担い、打率.305、33本塁打を記録していた。
幾度となく・・・
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