週刊ベースボール10月6日号「2025ドラフト特集」をパラパラと見る。指名候補選手のプレーについての論評は記事に任せるとして、私はまた名前に目が行くのだ。
中野大虎(大阪桐蔭高)という名前には、とても驚いた。「なかの・おおとら」? 正確な読みは「なかの・だいと」なのだが、もちろん言いたいことは「阪神、指名したれよ」。
調べたら、この名前は阪神私設応援団の団長を務めた祖父の遺言だと言う。あぁ、本物やん。
あと、オールドファンにとって「大虎」(おおとら)といえば、水島新司の漫画『あぶさん』に出てくる居酒屋だ。由緒ある名前である。登録名称はぜひ「なかの・おおとら」にしてほしい。
あと今岡拓夢(神村学園高)という選手も取り上げられている。本人、内野手の上に、
今岡誠と
中野拓夢。今年夏の甲子園で応援団は、阪神のチャンステーマを彼に向けて演奏したらしい。もちろん言いたいことは「阪神、こいつも指名したれよ」。
余談だが、ますだおかだの増田英彦がいつかラジオで、阪神の中野拓夢と
高寺望夢を「阪神の夢グループ」と表現したのはよかった。今以上に活躍して「年俸、お高いんでしょ?」と言われてほしい。
ここで私は
伏見寅威(
日本ハム)を思い出す。彼の場合、寅、つまり虎だからといって、決して「阪神、指名したれよ」とはならない。だって「寅威=トライ」。そして伏見といえば京都市立伏見工高……『スクール☆ウォーズ』じゃないか、ラグビーじゃないかと思ったからだ。
こちらも命名の理由を調べたら、父親がラガーマンだったからだという。やっぱり。ま、いいか。バスケ界のスター=八村塁も野球由来で命名されたらしいから。
それにしても
柴田獅子(日本ハム)である。「獅子」と書いて「れお」と読ませる。「なんで
西武指名せえへんかってん」。
しかし名前の由来を調べて驚いた。彼、福岡の飯塚出身で、祖父が(西武ではなく)西鉄ライオンズのファンだったという。ええ話やん。そう言えば、
近田怜王(ちかだ・れお)も、
ソフトバンクが08年に指名したよなぁ、西武じゃなく。
と、こんな駄話なら何時間でも出来るが、キリがないので最後に。
史上もっとも野球界に歓迎された名前は、何といっても、今季セ・リーグのペナントレースを制したチームの監督だろう。「職業名=名前」という奇跡は、私の知る限り、ほかにはキャンドルアーティスト=キャンドル・ジュンしかいない。
PROFILE スージー鈴木●1966年生まれ、大阪府出身の野球文化評論家、音楽評論家。『9の音粋』(BAYFM)の月曜DJ。近著に『大人のブルーハーツ』(廣済堂出版)、『弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる』(ブックマン社)、『サブカルサラリーマンになろう』(東京ニュース通信社)。新刊に『沢田研二の音楽を聴く 1980-1985』(日刊現代)。