5試合目の先発マウンドでも、無失点を継続した。巨人の山崎伊織がセ・リーグ記録となる開幕から35イニング連続無失点をマーク。だが、歴史に名を刻んだ記録も、チームの勝利という喜びには及ばない。 写真=桜井ひとし
※記録・情報は5月1日時点 スコアボードにまたも「0」を並べ続けた。4月30日の
広島戦(東京ドーム)で先発した山崎伊織は7回5安打6奪三振、無失点で無傷の4連勝。開幕から35イニング連続無失点としてセ・リーグ新記録を打ち立てた。
前回登板で28イニング連続無失点と球団記録に並んでいた右腕は、初回をゼロに抑えて2007年に
高橋尚成が成し遂げた球団記録をまず更新。その後も4回までゼロを重ね、1963年の
中井悦雄、23年の
村上頌樹(ともに
阪神)のセ・リーグ記録31イニングを更新する開幕から32イニング連続無失点をマークした。
「リハビリから始まって、ここまで投げられるとは思っていなかった」
東海大4年時に右肘のトミー・ジョン手術を受けながら2位指名を受けて21年に入団。1年目はリハビリに費やし、「(自分が)投げている姿が想像つかなかった」と振り返る。焦らず、地道に歩みを進め、昨季は2年連続の2ケタ勝利を挙げて
戸郷翔征とともに先発ローテーションの軸を担う存在に成長を遂げた。
阿部慎之助監督は「もう100点。素晴らしい記録だし、なかなかできるものではない」とたたえるとともに、「いつか点は取られる。そのときにどう踏ん張るか、どう切り替えられるか」と先を見据えたエールを送ったが、開幕からの連続無失点は2リーグ制以降の最長でありパ・リーグ記録である21年の
西武・
平良海馬が38回、NPB記録は1リーグ時代、39年の阪急・
高橋敏で38回1/3と、さらなる記録更新も視野に入った。(※5月7日、連続無失点記録が36回で途切れた)
それでも背番号19は「ゼロでいけたことはうれしいが、今日の試合を勝てたことはもっとうれしい。記録もそうだが、まずは先発としてしっかり試合をつくりたい」と足下を見つめる。
チームの勝利のために――。その先に新たな記録が待っている。
PROFILE やまさき・いおり●1998年10月10日生まれ。181cm81kg。兵庫県出身。[甲]明石商高-東海大-巨人21[2]=5年。