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主力に故障者続出も広島が首位快走 他球団が「手がつけられない」警戒の打者は

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5連勝で貯金4に


開幕から安定した打撃を見せる小園


 広島が強い。4月15日の中日戦(マツダ広島)で投打ががっちりかみ合い、7対1と快勝。5連勝で貯金を今季最多の4に増やした。

 シーズン前に思い描いていた戦力構想とは違い、主力に故障者が相次いだ。攻守の要の坂倉将吾が右手中指骨折で3月上旬に戦線離脱。さらにオープン戦で打.333、2本塁打と打撃好調で開幕四番に起用された新外国人のエレフリス・モンテロも左脇腹肉離れで開幕3試合目を終えて登録抹消された。チャンスメーカーの秋山翔吾も右足首の捻挫でチームを離れることに。大幅な戦力ダウンが懸念された。

 広島は昨年の夏場に優勝争いを繰り広げていたが、9月に5勝20敗と大きく負け越して4位に転落。この1カ月は25試合で計61得点と1試合の平均得点が2.44と貧打に苦しんだことが大失速の要因だった。得点力が上がれば上位3チームに決して劣らない。昨年まで阪神の監督を務めた岡田彰布氏は週刊ベースボールのコラムで、今年の戦力分析について阪神のライバルに巨人DeNAを挙げた上で、広島についても言及していた。

「軽視してはいけないのが広島やろな。昨年、戦ってみて若い選手の伸びをベンチから感じていたけど、最後に失速した。新井(新井貴浩)監督もショッキングな結末やったやろうし、それが今キャンプからの動きに表現されていた。バッターは相当振り込んでいたし、投手陣の投げ込みも意識して増やしていたと聞いた。息切れしないような対策。ポイントはいかに得点力を増すことができるか。それで新外国人を獲得しているのだが、これが機能すれば、前に書いた3球団に割って入ってくる可能性があるとにらんでいる」

ヒットになる確率が高まった打撃


 開幕して阪神、ヤクルトに2カード連続負け越したが、その後は8勝1敗1分けと白星を順調に積み重ねている。昨年は故障に泣かされた末包昇大、新外国人のサンドロ・ファビアン、ベテランの野間峻祥、若手成長株の田村俊介らの活躍が光る中、春先からエンジン全開の巧打者が小園海斗だ。開幕15試合を終えて無安打に終わったのは1試合のみ。2度の猛打賞、7度のマルチ安打と驚異的なペースで打ちまくっている。打率.424、25安打、出塁率.493はいずれもリーグトップだ。

 他球団のスコアラーは「ちょっと手が付けられないですよね。状態がいいとボール球を振りにいって打撃を崩すことがありますが、小園はボール球になる変化球をきっちり見極めている。昨年に比べて打球速度が上がっているので、ヒットになる確率が高まっている。広島は秋山、野間、矢野雅哉などしぶとい打者が多いですが、小園が一番厄介です」と警戒を強める。

背番号5で絶対的な主力に


 遊撃から三塁にコンバートされた昨年は、自身初の全143試合出場で打率.280、2本塁打、61打点、13盗塁をマーク。5月に球団記録を塗り替える月間8度の決勝打をマークするなど得点圏打率.341と勝負強さを発揮し、四番で起用された時期もあった。個人としては大きく飛躍したが歴史的大失速を味わったため、「悔しい思いをしたし、本当にふがいないなと。迷惑も掛けた」と満足感はなかった。

 侍ジャパンで来年のWBC出場も視野に入る。昨年11月のプレミア12では初戦から6試合連続安打を放ち、米国戦では2打席連続本塁打を含む猛打賞7打点の大暴れ。大会ベストナインに選出された。

 期待の若手から、不可欠な主力選手に。チーム内の立ち位置も変わった。鈴木誠也(カブス)から入団以来受け継いだ背番号「51」から、主力選手の証である1ケタの背番号「5」に変更した。小園の活躍なくして、V奪回は望めない。「シーズン通して結果を残せるように。期待してもらってやっている。結果でしっかり返していけるように」。セ・リーグの台風の目で終わるつもりはない。先頭でゴールテープを切るため、攻守でけん引する。

写真=BBM

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