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広島の救世主に…「大竹耕太郎のように大ブレーク」可能性の左腕に期待が

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プロ4年目左腕が台頭


4月18日現在、3試合に先発し3勝をマークしている森


 広島が4月18日の阪神戦(マツダ広島)で5対2と逆転勝利を飾り、リーグ最速の10勝に到達。貯金を今季最多タイの4に増やした。

 この試合で先発の森下暢仁が9回2失点の完投勝利で今季3勝目をマーク。広島の快進撃を支えている要素の一つが先発陣の安定感だ。森下、大瀬良大地床田寛樹に加え、昨年1勝に終わった森翔平の活躍が光る。3試合登板で3勝0敗、防御率1.93。プロ4年目左腕がブレークの雰囲気を漂わせている。

 直球は常時140キロ前後と決して速くないが、カットボール、フォーク、スライダー、ツーシーム、チェンジアップ、カーブと多彩な変化球を操り、凡打の山を築く。今月13日の巨人戦(マツダ広島)で1点リードの4回一死二、三塁に自身の暴投で失点したが、ここで崩れない。最少失点に切り抜け、6回5安打1失点と踏ん張ったことで3勝目をつかんだ。

 投手陣を長年支えてきた九里亜蓮が昨オフ、オリックスへFA移籍。昨年6勝をマークしたアドゥワ誠も右股関節付近の違和感で出遅れた中、森が春先から先発ローテーションで稼働していることは心強い。

昨年もブレークの兆しが


 社会人野球・三菱重工Westからドラフト2位で入団し、「ドラフト1位で指名されてもおかしくない」と評された即戦力左腕だったが、22年は1勝、23年は4勝と殻を破りきれなかった。昨年は投球フォームのバランスを崩し、8月に一軍昇格。5試合登板で1勝3敗、防御率2.70の成績を残した。

 白星は伸びなかったが、防御率が示すように投球内容は悪くない。課題と収穫が明確になり、「今年は悔しいシーズンになりましたが、来季につながるような終盤ではあったと思います。しっかり考えながら投げられた部分もありますし、昨季より相手としっかり勝負ができていたところもありました。ランナーを背負った場面での四球だったり、細かい技術的な面もありますが、オフはしっかりフィジカルも鍛えていきたいです。来年は本当に“やるんだ!”という気持ちが強いです。とにかく危機感を持って、この秋、冬と練習に取り組んでいきたい。毎年、春に結果を出せていない。来年は春から一気にいければ。開幕からフルで先発ローテーションを回れるように頑張ります」と誓っていた。

スタイルが重なる左腕


 その投球スタイルが重なるのが大竹耕太郎(阪神)だ。制球力が生命線の左腕はソフトバンクで一軍定着できなかったが、現役ドラフトで22年オフに阪神に移籍して大輪の花を咲かせた。23年に12勝2敗、防御率2.26と自己最高の成績で、38年ぶりのリーグ優勝に貢献。昨年も自身初の規定投球回に到達し、11勝を挙げた。

 野球評論家の荒木大輔氏は週刊ベースボールのコラムで、以下のように分析していた。

「狭い球場だからと言って、外角の際どいコースばかりに投げていてもピッチングにはなりません。自然とカウントを悪くして、投げるところがなくなってしまう。特に大竹投手はフォームに強弱をつけて投げ込むなど技術があり、140キロの直球でも打者を差し込むことができる。自分の持ち味を消さないためにも積極的にストライクゾーンに投げ込むのは得策です。ひょいと投げる感じで簡単にストライクを奪いますが、チェンジアップも素晴らしいですね。キレ味が良く、カウント球にも勝負球にも使えます。打者視点で考えると、大竹投手は球種も多いですし、なかなか初球からチェンジアップに狙いを定めることができません。そこで初球からチェンジアップを投じてストライクを奪う。大きな武器となっています」

 森が大竹のように1年間通じて先発で回り、10勝をクリアする成績を残せばリーグ優勝にぐっと近づく。同学年の森下の存在も刺激になっているだろう。最高のスタートを切ったが、シーズンは長い。勝負はこれからだ。

写真=BBM

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