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ソフトバンクから移籍で覚醒の予感 「内川聖一と重なる」巧打者は

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野球人生の転機


4月20日のオリックス戦で7回に決勝打を放った吉田


 日本ハムが首位・オリックスに食らいつく。敵地・京セラドームで直接対決3戦目となった20日の試合を2対0で逃げ切り、カード勝ち越しを決めた。本拠地・エスコンフィールドで対戦した前回は同一カード3連敗を喫しただけに、1勝1敗で迎えた試合を勝った意味は大きい。

 決勝打を放ったのが、昨オフにソフトバンクから現役ドラフトで移籍した吉田賢吾だった。0対0の7回二死満塁で川瀬堅斗のスライダーを左前にはじき返す先制の適時打。初球から思い切りよく振り抜いた。三塁ベンチはお祭り騒ぎに。「五番・指名打者」でスタメン起用した新庄剛志監督の期待に応えた。

 野球人生の転機を迎えている。プロ2年目の昨年は10試合出場で打率.192。一軍定着できなかったが、ウエスタン・リーグでは79試合出場で打率.303、3本塁打、33打点と格の違いを見せていた。逆方向の右翼に安打を打つ技術に長け、パンチ力がある。そして、昨オフに日本ハムへ移籍。吉田にとってはサクセスストーリーを描きやすい球団だったのではないか。ソフトバンクでチームメートだった水谷瞬が23年オフに日本ハムへ移籍すると、交流戦史上最高打率.438をマークし、MVPを獲得。ソフトバンクで一軍出場は叶わなかったが、移籍1年目で97試合に出場し、打率.287、9本塁打、39打点と頭角を現したからだ。

 競争を勝ち抜けば、道を切り拓ける。オープン戦で24打数10安打、打率.417をマーク。得点圏打率.571と勝負強さをアピールして開幕一軍切符をつかんだ。そして、4月2日のソフトバンク戦(エスコンF)で劇的な一発が。1点リードの7回に藤井皓哉の150キロ直球を右翼に運ぶプロ初アーチ。移籍後初安打が恩返しの一発になり、新庄剛志監督は両手を突き上げて喜んだ。さらに、「三番・左翼」で先発出場した4日のオリックス戦(エスコンF)で、2点差を追いかける6回二死で球界を代表する左腕・宮城大弥の147キロ直球に反応し、右翼フェンスを越える2試合連続本塁打。いずれも、逆方向への一発で吉田の魅力が凝縮されていた。

右打者最高打率をマーク


 逆方向に安打を飛ばす高度な打撃技術に定評があったのが、右打者最高打率.378をマークし、セパの両リーグで首位打者を獲得した内川聖一氏だ。吉田は入団時から打撃スタイルが「内川と重なる」と評されてきた。通算2186安打を積み上げ、CSや日本シリーズなど短期決戦でも勝負強さを発揮した内川氏だが、決した順風満帆な野球人生だったわけではない。ドラフト1位で横浜(現DeNA)に入団したが、レギュラーをつかんだのはプロ8年目。週刊ベースボールのインタビューで、以下のように振り返っている。

2008年に急成長を見せ、首位打者に輝いた内川


「守るポジションがないのがレギュラーを獲れない原因だと思っていました。ケガも多かったですしね。打撃に関しては自分の中でずっと自信があったんです。前のミートポイントでさばきながら、甘くなった球を引っ張るのが、それまでの自分の打撃でした。ただ、ヤクルトから来られた打撃コーチの杉村(杉村繁)さんが、『ヤクルトは(ミートポイントを)前に出してアウトに取ろうとしている』というのを聞いて、あっ、長所だと思っていたことが弱点だったんだって。『手元で小さく曲がる変化球が多くなり、ストライクゾーンを見極めるためには、ポイントを近づけて詰まっても安打にしたほうがいい。グラウンドを45度でなく、90度使ったほうがお前に合うよ』ってアドバイスを受けて。プロ8年目で、今レギュラーになれなきゃもう無理だなと思っていた時期だったのも大きかった。杉村さんの話がスッと耳に入りましたね」

 内川氏は杉村繁打撃コーチ(現ヤクルト打撃コーチ兼スコアラー)との出会いが、大ブレークのきっかけになった。吉田は日本ハムへの移籍で覚醒できるか。

写真=BBM

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