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6連敗で借金生活に突入…「広島の救世主」として期待される和製大砲は

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好機で1本出れば……


四番としてカープ打線をけん引する末包


 ダメージの大きい敗戦だが、気持ちを切り替えて前に進むしかない。広島が5月1日の巨人戦(東京ドーム)で延長12回の末に、今季3度目のサヨナラ負け。6連敗で借金生活に突入し、4位に転落した。

 試合の主導権を握っていただけに悔やまれる。初回に田中将大から5連打で3点を先制したが、2回以降に再三の好機で追加点を奪えなかった。同点の9回に無死満塁の絶好機を作ったが、サンドロ・ファビアンが遊ゴロ併殺打、菊池涼介が三ゴロで勝ち越せず。延長10回も一死一、二塁の好機で得点が奪えず、最後に力尽きた。16安打を放ちながら16残塁の拙攻で同一カード3連敗。東京ドーム、神宮、横浜の首都圏3球場では8戦全敗となった。

 6連敗中はすべて3得点以下だが、1日の試合のように好機で1本出れば大量得点につながるケースが少なくない。局面を打開するために、四番の活躍でチームを活気づけたい。キーマンになるのが末包昇大だ。

昨年までは殻を破り切れず


 和製大砲として期待されながら、度重なる故障で殻を破り切れなかった。昨年は79試合出場で打率.238、9本塁打、37打点。1月下旬に左膝の内側半月板を負傷して出遅れると、5月上旬に一軍合流後も再び故障に見舞われる。6月22日の対中日戦(バンテリン)で守備中に左太もも裏肉離れで戦線離脱。8月に復帰したが、打撃の調子がなかなか上がってこなかった。首位争いしていたチームも9月に5勝20敗と大失速し、CS圏外に。末包は週刊ベースボールのインタビューで以下のように振り返っていた。

「悔しい、そのひと言ですね。ただ悔しい中にもいろいろな感情が入り混じって終わっていったなというようなシーズンでした。僕自身、いろいろありましたが、やっぱり一番はケガ。シーズン前とシーズン中、2回の故障離脱がありましたが、どちらかなくせると言われたら……どっちかなー。2回目のほうですかね」

「気持ち的な部分もありました。あのケガから、なんか自分のバッティングがちょっとおかしくなっているなというふうには思っていて、それが最後までうまく修正できませんでした。しっかりとした、『コレ』ができていればいいかなという、根本で言ったら幹の部分が、少しボヤけてしまったんですよね。逆に細かい部分ばかりを気にしてしまって、少しずつ歯車が狂っていった。修正すればするほど、今度は別の場所がおかしくなっていくような。2回目のケガをする前は、少し調子を落としても自力で直せた。というか、こういう感じだったよなと戻せたので。でも、(6月の)ケガをしてからは、それすらもできなくなっていました」

好投手に強いことが四番の証し


 今季は開幕スタメンを勝ち取ることができなかったが、4月2日のヤクルト戦(神宮)で1号左越え2ランを含むマルチ安打と活躍するなど好調をキープ。新外国人のエレフリス・モンテロが左脇腹を負傷して離脱したこともあり、9日の中日戦(バンテリン)以降は四番に定着している。

 好投手に強いことが四番の証しだ。DeNA東克樹との対戦では6打数3安打で2本のアーチを放っている。巨人戦に強いことでも知られる。23年は11本塁打のうち6本塁打を巨人戦で放ったが、今年も打率.370、1本塁打、6打点とキラーぶりを発揮。4月29日の巨人戦(東京ドーム)では4回に井上温大のカーブに反応して4号同点2ランを左翼席に放つと、6回に勝ち越しの中前適時打。5月1日の同戦でも猛打賞をマークした。

 東洋大でレギュラーをつかめず、大阪ガスを経てドラフト6位で広島に入団。順風満帆の歩みではないが、苦労を重ねてはい上がってきた。能力の高さを考えれば、打撃タイトルを争う力を十分に備えている。怖いのは故障だけだろう。昨年はチームの本塁打数がリーグワーストの52本塁打に終わり、ホームランアーチストは貴重な存在だ。悪い流れを断ち切り、再び上昇気流に乗るためにも、末包の活躍は不可欠だ。

写真=BBM

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