
準決勝では昨年の優勝チーム・ショウワコーポレーションを撃破。準優勝も立派な戦いだった[写真=ツクイヨシヒサ]
チーム全員で目指した「クラブ日本一」に、あと一歩届かなかった。
全日本クラブ野球選手権大会で準優勝となったエフコムBC(福島)。東北出身者が大半を占める、地元に根差したチームだ。チーム名が新しくなって、今年で4年目。大会出場は、2大会ぶり7回目となる。中島周作監督(仙台大)は、自チームのカラーについて以下のように語る。
「本当に野球の好きな、明るい選手が集まったチーム。走攻守の面でいうと、もともと打力が長所だったところに、今年は内野を中心とした守備も安定しました。機動力のある新人たちも入ってきてくれましたし、総合力の底上げを実感できる大会になりました」
チームのモットーは「野球でも仕事でも輝く!」。やるべきときは「とにかく一生懸命にやる」ことを常に話し合った。だが同時に「プレッシャーのなかでも、楽しみながらプレーすること」も心がけ、今大会では「その日頃の成果が出た」と語る。
選手たちは、ICT(情報通信技術)を扱うエフコムの社員を中心としながら、他社で働く者も含んでいるため、平日の練習は各自に任せている。全体練習は週末が
メイン。ひとり当たりの練習量を確保するためにも、無理に人数を増やすことは考えていないという。
「ありがたいことに、地元の大学とのオープン戦などを通じて、ウチに来たいと言っていただく学生の方もいるので。試合をすることで、チームの雰囲気を肌で感じ取ってもらえているんだと思います」
球際のあと一歩
今大会屈指の好ゲームとなった準決勝では、昨年覇者・ショウワコーポレーション(岡山)に3対2で勝利。1点をめぐる攻防を制して、チーム力の高さをあらためて示した。
「四番の八百板飛馬(聖光学院高)が初回に先制ツーランを打ってくれたのが、うれしい誤算でした。正直、こちらが追いかける展開を予想していましたので……。飛馬はキャプテンとしても、選手としてもチームを牽引してくれる存在です。投手では先発を任せた、新人の
渡邉拓海(東日本国際大)が、堂々としたピッチングを見せてくれました」
八百板飛は3打数2安打、渡邉拓は7回0/3を2失点で、勝利に大きく貢献した。しかし同日開催となった決勝では、マツゲン箕島硬式野球部(和歌山)に1対9、7回
コールドの完敗。念願の優勝旗をつかむことはできなかった。
「自分たちの力が尽きたのか、相手に力負けしたのかと聞かれたら、両方なんでしょうね。日程が詰まってしまったこともありますし、コンディションが万全の状態ではない選手も少なからずいました。みんな口には出さずに頑張ってくれましたが、もしかしたら、球際のあと一歩が届かないというところがあったかもしれません。もちろん相手のマツゲン箕島さんが、完全に力を持ったチームであることも間違いなかった。ですから、どちらの理由も本当です」
決勝後、悔し涙も浮かんだという中島監督だったが、その目はもう、しっかりと前を見据えていた。(取材・文=ツクイヨシヒサ)