
西濃運輸との準決勝で敗退。エイジェックは黄獅子旗[3位]を手にした[写真=矢野寿明]
部史を塗り替える戦いを終え、エイジェック(小山市)の山中繁監督(同大)は言った。
「チャンスもあったが、これが実力。選手たちはよくやりました。本戦で4試合もできるとは思っていなかったですしね」
都市対抗、西濃運輸(大垣市)との準決勝は、試合終盤まで互いの意地がぶつかり合った。2点を追う4回裏、エイジェックは日立製作所からの補強選手である金原塁(大商大)が中前安打で出塁。一死後、2年目の高橋樹とルーキーの秋山貫太(ともに白鴎大)に連打が飛び出して1点を返した。6回裏には、一死一、三塁から3年目の高木大輝(国際武道大)が犠飛を放って同点。投げては、先発の神山陽登(国学院大)からマウンドを譲り受けた安藤幸太郎(白鴎大)、そして三番手で6回表から登板した谷内隆悟(同大)が西濃運輸打線を粘り強く抑えて、試合終盤まで一歩も譲らない展開を見せた。だが、9回表に1点を勝ち越され、エイジェックの初の決勝進出の夢はついえた。
それでも、今夏の都市対抗は創部9年目を迎えたチームの一つの集大成となった。今シーズンから、かつてトヨタ自動車を日本選手権連覇に導いた山中監督を迎え入れたエイジェックは、北関東二次予選を逆転劇で勝ち上がった。準決勝と代表決定戦は、ともにサヨナラ勝ちで終盤の強さを発揮。今シーズンのチームスローガンである「一心〜こころをひとつに〜」を体現するかのように、大きな輪となって第1代表の座をつかみ取った。
東京ドーム3勝の意義
本大会でも、その力が本物だったことを証明する。沖縄電力(浦添市)との1回戦は、9回裏に同点に追いつかれるも、タイブレークとなった延長10回表に2点を奪って勝利。2回戦では、全国最多となる65回の出場を誇り、都市対抗優勝は4回を数える日本生命(大阪市)を下す。4回までに6点をリードした展開に、山中監督も「チームとして、前半であれだけ点差を広げる展開はあまりない」と驚くほどに圧巻の攻撃だった。栃木県勢のチームがベスト8に進んだのは古沢建設(鹿沼市)の1950年以来、実に76年ぶり。無論、エイジェックとしても2024年(第95回大会)の2回戦進出の最高成績を塗り替える歴史的な勝利だった。勢いは止まらず、東邦ガス(名古屋市)との準々決勝を延長10回タイブレークのサヨナラで勝ち上がったチームは、栃木初のベスト4まで上り詰めた。チーム最年長で8年目の安藤は言う。
「(準決勝で)負けたのは悔しいですけど、チームとしてこれまで(大会)1勝が最高で、今回は3回勝てたことは大きい。でも、やっぱり悔しいですね。あと一歩で決勝というところまで来ると、悔しさのほうが勝ってしまう」
勝利を積み重ねた先にあった新たな世界と感覚。そこにある悔しさは、これまで味わったことがないものだ。ゆえに、チームはさらに強くなる。エイジェックグループとして25周年を迎える今年、夏に描いた軌跡は、新興チームが新たなフェーズを迎えたことを強烈に印象づけるものだった。(取材・文=佐々木亨)