優勝球団は連覇へ、その他の球団はV奪回へ向けて今オフに戦力補強を行っている。ここまで、どのような方法でチームの戦力アップを果たし、現有戦力と合わせて優勝確率はどれほど高まっているか。セ・リーグ6球団の「オフの戦力補強」の評価はいかに? 100点満点で採点した。 ※情報は12月27日現在 読売ジャイアンツ

巨人にドラフト1位で入団した大勢[写真=BBM]
巨人 70点
投打ともに現有戦力が本来のパフォーマンスを発揮すること、若手投手が先発ローテーションで結果を残すことがV奪回へ向けた最大のポイントといえる。FA市場に活気がなかったこともあり、おとなしいストーブリーグは、支配下ではエンゼルス・
大谷翔平の元チームメートの右腕M.
アンドリース(MLB通算28勝)に、右打ちの外野手A.
ウォーカー(2年連続米独立リーグMVP)と、現状は新助っ人2人の獲得にとどまっている。先発陣の強化、支配下の右打ち外野手が
石川慎吾のみという事情もあり、ポイントをおさえた補強と言えるか。新人ではドラフト上位3人の投手、翁田大勢(関西国際大)、
山田龍聖(JR東日本)、
赤星優志(日大)が即戦力の期待をかけられている。1人でも先発ローテに組み込まれるような働きを見せれば、大きな戦力アップとなる。
阪神タイガース

FA権を獲得し、その行方が注目された梅野だが阪神残留を選択[写真=BBM]
阪神 70点
まずは攻守でチームをけん引してきた
梅野隆太郎がFA権を行使せずに残留したことがオフの“補強”の中でも一番大きい。扇の要が抜けると、
坂本誠志郎だけでは心もとない部分があったのは間違いない。チームにとって痛かったのは絶対的クローザーの
スアレスが、パドレスと契約したこと。その代わりとして
アーロン・ウィルカーソンと
カイル・ケラーを獲得。ただスアレスほどの安定感を求めると酷だ。ケラーは150キロ後半の真っすぐがあるため、クローザー候補か。新人ではドラフトで左腕を2人、サイド右腕、外野手の1人の即戦力候補を獲得したが、未知数。
佐藤輝明、
中野拓夢、
伊藤将司と今季の新人3人と同等の活躍をしてくれるようなら17年ぶりの歓喜の可能性は高まる。
東京ヤクルトスワローズ

ヤクルトにドラフト1位で入団した山下[写真=BBM]
ヤクルト 70点
リーグ優勝を果たし、
奥川恭伸の台頭もあって投手力は充実の兆しを見せるが、それでも妥協せずに2人の外国人投手を補強した。1992、93年以来となるリーグ連覇を狙う姿勢を、球団フロントが積極的に見せている。ブルージェイズの右腕・
A.J.コールと、韓国・LGツインズの左腕であるアンドリュー・スアレスの2人を獲得。A.Jコールは、メジャーでは主に中継ぎを担ったが、先発もこなせる。スアレスは韓国プロ野球リーグで23試合に登板して10勝を挙げた。ともに先発として期待されている。また、新人でも不足する先発左腕候補として、法大の
山下輝をドライチで指名した。同3位の
柴田大地(日本通運)は右の中継ぎ候補で、即戦力として期待される。油断も妥協もせず、再び一から頂点を狙う。
広島東洋カープ

広島にドラフト1位で入団した黒原[写真=BBM]
広島 60点
ドラフトでは支配下7選手のうち5人が大卒・社会人出とあって1年目から一軍戦力となったほしいところ。特に1位の
黒原拓未(関学大)、2位の
森翔平(三菱重工West)の左腕コンビは、先発なら開幕ローテーション、中継ぎなら勝利の方程式入りが期待される。FA移籍せずに
大瀬良大地、
九里亜蓮も残留した先発陣はコマはそろうだけに、新戦力が競争を激しくすれば全体のレベルアップも図れる。また、ここ数年チームを悩ませてきた外国人選手が、2022年こそは機能するかどうか。これが明暗を分けると言っても過言ではない。新加入3選手の内、特に内野手の
ライアン・マクブルームの活躍が待たれるのは、やはり
鈴木誠也のことがあるから。主砲・
鈴木誠のMLB移籍が決定すれば、その穴を埋めるのは容易ではない。総力戦の中で21年に3Aながら32ホーマーの新助っ人が活気をもたらしてくれれば、若い選手たちも刺激を受けるはずだ。
中日ドラゴンズ
中日 40点
又吉克樹の人的補償でソフトバンクから獲得した同じ中継ぎの
岩嵜翔が最大の補強だろう。岩嵜は2018年以降は故障などで苦しんだものの、今年は48試合に登板して復活の手応えをつかんでいる。それ以外は主だった動きはなく、即戦力としてドラフトで指名した上位2人、
ブライト健太(上武大)、
鵜飼航丞(駒大)に期待がかかる。
落合英二ヘッド兼投手コーチの推薦で
ロッテから
大嶺祐太を、キューバつながりで
フランク・アルバレスと
ギジェルモ・ガルシアの2人を獲得したが、育成での契約。四番
ビシエドのあとを打つ新助っ人の獲得は絶対かと思われたが、現時点で可能性は低いようだ。2004年に新しく指揮官となった
落合博満監督は一切の補強をすることなく現有戦力の底上げで優勝をつかんだが、その再現となるか。
横浜DeNAベイスターズ
DeNA 50点
投打の主力2選手が巨人へFA移籍するのを見送るしかなかった1年前のオフ。その後の補強も十分とは言えずに、2021年シーズンは苦戦を強いられた。同じ轍は踏むまいと今オフは積極的な補強に動く。スタッフでは
石井琢朗、
鈴木尚典、
齋藤隆の1998年V戦士をコーチとして招聘。経験豊富な
相川亮二も古巣で指導に当たる。しかし、プレーをするのはあくまでも選手である。野手ではFA権取得した
宮崎敏郎や、ソト、
オースティンの残留は朗報。新人以外の新戦力として
藤田一也、
大田泰示の獲得で強化を図ったが、投手陣には不安が残る。上積みは長身右腕の
ブルックス・クリスキーのみ。先発、リリーフともにさらなる補強は必要だろう。
写真=BBM