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今年は三冠王狙える 巨人・岡本和真に「メジャーの評価が上昇」の理由は

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ヒットは打てなくても


今季は開幕から安定感ある打撃内容を見せる岡本


 巨人が4月25日の阪神(甲子園)に1対4で敗れた。開幕から阪神に4連敗したのは22年ぶり。不動の四番・岡本和真は4打数無安打で、開幕から続いていた連続出塁が22で止まった。ただ、打席の内容を見ると最低限の仕事をしている。

 4点差を追いかける6回だ。一死三塁でワンバウンドになる外角低めのチェンジアップをバットに当てて三ゴロに。この間に三塁走者・若林楽人が本塁生還した。毎打席で長打が打てるわけではない。走者を還すために凡打の内容も重要になってくる。相手右腕の村上頌樹は智弁学園高(奈良)の2年後輩で昨季までの対戦成績は打率.100、0本塁打と苦手にしていた。この日も3打数無安打に封じ込められたが、6回の打席で空振り三振せず、チーム唯一の得点となる打点をたたき出した。

レジェンドが説く打者の鉄則


 今年は春先からバットが振れている。23試合出場で打率.326、7本塁打、21打点。過去に本塁打王を3度、打点王を2度獲得し、今年も十分にタイトルが狙える。さらに、打者としてワンランク上を目指すには確実性を高めたい。2018年に打率.309をマークして以来、打率3割に届いたシーズンがない。7年ぶりに3割をクリアする成績を残せば、自身初の三冠王が見えてくる。現役時代に首位打者に7度輝いた野球評論家の張本勲氏は、村上宗隆(ヤクルト)が「令和初の三冠王」に輝いた22年に週刊ベースボールのコラムで、以下のように語っている。

「三冠王を獲る秘訣は四球の多さなのだ。私の同期だった王貞治(巨人)は1973、74年と2度の三冠王に輝いているが、四球は124と158だった。3度の三冠王の落合博満(ロッテ)も王よりはさすがに少ないが、85年と86年の三冠王のときの四球は100を超えているはずだ(ともに101)。我慢して四球を選ぶという意味ではランディ・バース(阪神)も徹底していた。ストライクを振り、ボールを振らないという打者の鉄則を守れば、村上(宗隆)の三冠王は決して夢ではない」

「三冠王というのは打者の夢でもあるが、その資格があるのは長距離砲に限られる。だから私やイチロー(オリックスほか)のような打者は望むべくもないのだが、その長距離砲にとって一番難しいのが打率なのだ。一発長打を秘める分、率は下がるのが普通だが、その率も高くては投手からすればお手上げ状態。どこに投げても打たれる気しかしないだろう。三冠王は過去に7人いるものの、誰もがそんなシーズンを送ったのではないか」

目立つ好球必打


 岡本は23年のシーズン72四球が自己最多と意外に少ない。初球からタイミングが合えば積極的に仕掛ける打撃スタイルが影響しているのだろう。ただ、快音が止まる時期はボール球になる変化球に手を出す傾向が見られる。際どい球を見極めて出塁率が上がれば、自然と打率も上がっていく。今季は好球必打できっちり捉えている打席が目立つ。

 打撃だけでなく、複数のポジションを高水準で守る守備力も強みだ。今季は一塁でスタートしたが、坂本勇人が打撃不振でファーム降格したことに伴い、4月中旬から三塁でスタメン出場。試合途中に一塁の守備に位置に代わることがあるがきっちりこなしている。スポーツ紙記者は「岡本は打撃ばかり注目されますが、メジャーの球団から評価が高い理由は守備能力が高いことです。一塁、三塁だけでなく左翼にも対応できる。ポスティングシステムを利用してメジャー挑戦となれば、獲得を検討する球団は多いと思います」と分析する。

 四番打者は個人成績だけでなく、チームを勝利に導いてこそ価値が高まる。昨年は4年ぶりのリーグ優勝を飾ったが、CSファイナルステージでDeNAに敗退。リーグ連覇を狙う今年は丸佳浩が故障で開幕前に離脱し、坂本、エリエ・ヘルナンデスが打撃不振でファーム降格と主力選手に想定外の事態が続く中で、岡本の打棒にかかる期待は大きい。

写真=BBM

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