巻頭インタビューでダルビッシュは「日本人選手にはトレーニングが足らない」と指摘している。体格に勝るメジャー・リーガーと相対していくなかで、パワーの必要性を実感したのだろう。今後、日本球界がその点を疎かにすれば、メジャーとの差が縮まらないとダルビッシュは考える。果たして、ダルビッシュの憂いは事実と言えるのか。西武、巨人でトレーニングコーチを務めた宮本英治氏に聞いた。 取材・構成=小林光男、写真=桜井ひとし 体を動かす際の唯一のエンジンは筋力
ダルビッシュ投手が訴えていることは確かに間違いではないと思います。彼の考えを私なりに解釈すると、「日本人選手は技術を持っているんだから、パワーをつけたらよりそれが生きてくるはず」ということでしょう。単純に考えて、より遠くに飛ばす、より速い球を投げるためにはパワーが必要ですから。例えば
カブレラ選手(前
ソフトバンク)や
金本知憲選手(
阪神)。彼らはウエート・トレーニングに力を入れて、パワーを手に入れた結果、素晴らしい成績を残すことができたというのに異論はないでしょう。
パワーではかなわないかもしれませんが、日本人選手は技術に優れています。だから、適切なウエート・トレーニングを積んで、よりパワーアップを図れば日本球界のレベルは上がっていく……という図式に思い至るのは自然の流れでしょう。「筋肉がついたら体が重くなる」というのも間違った考えです。私たちの体を動かす唯一のエンジンは筋力だけ。パワーも、スピードも、敏捷性も、持久力も筋力が源になっているのです。そのエンジンが50CCであるより、150CCである方が有利なのは確かことでしょう。

右投げのダルビッシュは時折、左投げで練習を行う。これも体の機能、バランスが優れている証拠。障害予防にもつながるはずだ
ただ、一方でダルビッシュ投手が言うことを真に受けて、誰も彼もがウエート・トレでパワーをつければいいというわけではありません・・・
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