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捕手を育てるのは時間がかかる

DeNAと日本ハム、対照的な「高卒2年目捕手」の育成法

 

「一人前に育てるには時間がかかる」と言われるのが、捕手というポジションの難しさ。特に高卒入団となれば、いきなり大活躍というのはかなり難しいはずだ。日本ハムDeNAには、いずれも将来を嘱望された高卒2年目の捕手がいる。高城俊人近藤健介。彼らはとても対照的な「育てられ方」をしている。目指すゴールは同じでも、そこに至るまでのルートは大違いなのだ。

DeNA・高城俊人捕手のケース


チーム事情により1年目から一軍出場
試合に出ながら原石を宝石に

 昨季7月18日のヤクルト戦(横浜)で、八番・捕手として一軍戦初出場。高卒新人捕手のスタメン出場は球団では谷繁(現中日)以来23年ぶりの快挙だった。その後、一時二軍に降格するも、8月に再度昇格し、そのままシーズン閉幕まで一軍で45試合に出場した。

 とはいえ、一軍入りの最大の要因は、内野手の嶋村が二軍戦で捕手として出場するほど深刻な捕手不足にほかならない。山下二軍監督は高城の一軍抜擢について「一軍のキャッチャーもドシッとした戦力がいるわけではなかったから、やっぱりチャンスは他チームよりも早く巡ってくるという状況はあったね。その中で二軍でかなり試合数、打席数もこなして体力もついてきて、それなりの成績も残していたので後半に上がったということだね」と語っていた。

 当時、一軍捕手の黒羽根が打率1割台前半と極度の打撃不振に陥っており、そこで二軍の捕手の中では最多の64 試合に出場し打率.324ともっとも好成績を残していた高城が代わりとして抜擢されたのだ。

 ただ、昨季、何とか一軍の打者と渡り合って見せた高城は、もはや消去法で起用されているわけではない。中畑監督は今季のキーマンに高城を挙げ、「性格的に前向きだし、先輩にも意見が言える。肩の強さもいいけどコントロールはない。でも使い続けていきたい気にさせる。いろいろと育てていきたいね」と評している。もちろん、長らく正捕手不在に悩まされてきた球団やファンにとっても将来のDeNAを支える扇の要として期待の星となっている。

 昨季の打率.170の打撃や、二塁送球モーションが大きく盗塁阻止率が悪いなど課題は山積みで、理想までは遠い。だが、オフに谷繁に自ら電話をかけ自主トレに参加させてもらうなど、一軍でマスクをかぶる責任感を向上心に変える力を持っている。まだ時間はかかるだろうが、厳しい環境に身を置くことで、原石は輝く宝石へと磨かれていくはずだ。

▲一軍の戦力として、日々経験を積んでいる高城。もはや、消去法で起用されているわけではない

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