年が明け、いよいよスカウト戦線も本格的なスタートを切った。ドラフト候補選手が在籍する高校、大学、社会人のグラウンドには「練習始動日」に合わせて、各球団のスカウトが挨拶を兼ねた視察に訪れる。本誌では「特集第1弾」を組み、2014年の有力プレーヤーの動向を追った。

2014年の傾向と大胆予想　

　言葉は悪いが、ある球団の編成トップは昨年のドラフト候補の顔ぶれについて「不作」を通り越した「凶作」とまで言った。実際、桐光学園高・松井裕樹（現楽天）に高校生投手で史上2位タイの5球団と「一極集中型」となった。さて、今年のメンバーを見渡せば「豊作」と言えるものの、シーズンオフの現時点では人気が2人に集まることも予想される。

　すでに「1位競合間違いなし」と高い評価を得ているのが、早大の154キロ右腕・有原航平（広陵高）だ。2勝先勝の勝ち点制である大学リーグ戦において、1勝1敗となった3回戦で勝利投手になった経験はないが、1回戦では恐るべき力を発揮。

　つまり、大学では課題の「中1日」も、プロのローテーションを守るには週に1回の登板で良いわけで、何の障害にもならない。高速スライダー、ツーシームと横の変化にも長けており、争奪戦は間違いないだろう。

　有原のチームメートで、早大主将を務める中村奨吾（天理高）は野手NO・1。本職は二塁手だが、外野も守れ、打撃においてもチャンスメーク、ポイントゲッターと万能型だ。球団の補強ポイントによっては、「将来の幹部候補」として獲得する手は十分にある。すなわち10年以上、レギュラーを任せられる「即戦力」はそうは出てこないということだ。

　この「ワセダBIG2」を追いかけるのは、大学生5投手だ。中大・島袋洋奨（興南高）、明大・山﨑福也（日大三高）、法大・石田健大（広島工高）、亜大・山﨑康晃（帝京高）、横浜商大・進藤拓也（西仙北高）はいずれも、決め手には欠けるが、上位12人の中に入ってくるだけの素材。春の活躍次第では1位指名の立場を確約できる。

　また、社会人投手では昨年11月に侍ジャパン入りしたNTT東日本・高木伴（東農大）が筆頭格。「即戦力」という見方では、先述の大学生5投手を上回る。

　将来性では済美高・安樂智大、前橋育英高・高橋光成の右腕2人。昨年の甲子園から実績は申し分なく、大学生、社会人の有力プレーヤーを一気に脅かす存在となる可能性も秘めている。シーズンが本格化すれば、スカウト戦線も「集中型」から「分散型」へと変動するかもしれない。


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