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ライバル・韓国に惜敗(1対2)し、銀メダルとなった侍ジャパン18U代表。2大会連続優勝を逃し、閉会式後の集合写真も厳しい表情だった


国際試合の厳しさをあらためて痛感した。すべてが初対戦の中で「一発勝負」では、ミスが許されない。アジア王座をかけた韓国との決勝。侍ジャパンは3失策がすべて失点に響き、打線も最大の同点機でスクイズ失敗と、ペースをつかむことができなかった。

攻守のミスが命取り2試合で6失策と課題が露呈


 一次ラウンド3試合で計42得点、失点ゼロ。許した被安打は2本のみ。圧倒的な力で決勝ラウンドへと進出した日本だが、過去の実績から見ても格下が相手。アジア3強を形成する韓国とチャイニーズ・タイペイは別グループ。高橋広監督が満を持して、準決勝にエース・高橋光成を先発に立てたように、残り2試合こそが重圧のかかる“本番”と言えた。

準決勝(9月5日)クイーンシリキットスポーツセンター

(日)高橋、小島、○岸-栗原、岸田 二塁打 淺間


 チャイニーズ・タイペイとの準決勝は、3回一死一塁から淺間大基の右中間二塁打で先制したものの、後続が続かずに1点止まり。すると5回には2つのエラーが絡んで逆転を許す。その後は互いにゼロ行進は続き、1対2のまま9回裏に。

 ここで日本は先頭の岸田行倫が中前打で出塁。さらに岡本和真も左前打で無死一、二塁とようやくチャンスをつかむ。続く香月一也のバントは投手前に転がり、三塁送球はセーフの判定(記録は犠打野選)。

 チャイニーズ・タイペイの監督が思わずグラウンド内に飛び出るほどの微妙なジャッジだったが、判定は覆らず。その後に一死となったものの、途中出場の德本健太朗が三塁線を破るサヨナラ打を放ち、命からがら白星を拾った。

決勝(9月6日)クイーンシリキットスポーツセンター

(日)●森田、小島-岸田、栗原


 続く韓国との決勝でも、日本はなかなか主導権を奪えない。3、4回と遊撃手が3つの失策を犯し、無安打で2点を献上。打線は6回まで1安打に抑えられていたが、7回に岡本の右前打を皮切りに1点を返す。

 反攻ムードが最高潮に達したのが8回。先頭の峯本匠が中前打。さらに相手失策も絡み、一死二、三塁の絶好機をつくった。しかし德本が1ストライクから試みたスクイズを外され、三走が憤死。德本が放ったレフトへの大飛球も、相手の好プレーに阻まれてしまう。

 点差は1点。9回裏の攻撃は三番・岸田から。日本関係者は誰もが前日の準決勝・チャイニーズ・タイペイ戦の再現を期待したはずだ。

 しかし幸運も2度は続かなかった。あえなく三者凡退に終わり、ゲームセット。2011年の前回大会(横浜)に続く連覇を逃した。「アジアの中での準優勝ですから価値はあるとは言いながら、優勝できる試合だった。チャンピオンでなかったら意味がない」

 試合後、高橋監督はそう振り返った。チャイニーズ・タイペイは3位決定戦でフィリピンに18対0。3強以下のレベルには、明らかな差があった。この3チームで最もプレーの精度を欠いていたのが日本。

 一次ラウンドでは3試合で失策、四死球ともにゼロだったチームが、決勝トーナメント2試合では失策6、四死球10。1点が勝敗を大きく左右する場面で、致命的なミスを連発した。

「投手は5試合を通じ自責点ゼロと上出来だった。打線は各チームの主力が集まっても打てないときは打てない。接戦のゲームになったときにはミスをした方が負け」(高橋監督)

 予選リーグから準決勝まで、スタメンはほぼ固定。韓国との決勝の3回に2つの失策を犯した遊撃手・吉田有輝は、今大会5試合目にして初先発だった。

 負けが許されない一戦だからこそ、それまでの戦術を貫くべきだったのではないか。もしくは準決勝と決勝をにらみ、予選で多くのオプションを試しつつ、多くの選手に実戦を積ませることもできたはずだ。“ぶっつけ本番”とも見える戦術が、わずかなスキをのぞかせたことも否定できない。無念の銀メダルだった。

決勝の大一番の先発を任された左腕・森田。9回途中まで2失点も、守備に足を引っ張られてのもの。今大会を通じ5試合で自責点0と、投手陣はそれぞれの持ち味を出した



2点を追う日本は7回一死一、二塁から岸の中前タイムリーで1点差。前日の準決勝では好救援で勝利投手となり、この日は左翼手で躍動した



1点を追う8回裏一死二、三塁から德本がスクイズを仕掛けるも、相手バッテリーに見破られ、三走・峯本が三本間に挟まれアウト。最大の好機を逃し、打線は4安打と韓国の2投手をとらえることができなかった



台湾との準決勝は2点を追う9回裏一死満塁から、途中出場の德本が左線へ。代走の安里と香月の2人が生還して劇的なサヨナラ勝ちを収めた



先発のエース・高橋は味方の拙守で2失点も、粘りのある投球を見せた

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