2016年から新たに指揮を握る新監督たちにスポットを当てる。彼らのマインドをどのような手段でチームに浸透させていこうとしているのだろうか――。 巨人・高橋由伸監督 “和”を高めるため“個”のレベルアップを切望

2月2日、宮崎県の特産品を贈呈され、宮崎ブランドポークをガブリ。これも監督の大切なお仕事です
高橋由伸監督は、気配りの人だ。例えば2月1日、キャンプ初日のブルペンでは、期待のドラフト1位右腕の
桜井俊貴が準備を始めると、スッとその場を離れ、遠くから“デビュー”を見守った。「本当は近くで見たかったんだけど、ペースを狂わせたら悪いから」。
一方、一軍キャンプに抜擢し、
村田修一、クルーズらと三塁を争う19歳の
岡本和真がフリー打撃を始めれば、熱血指導を施す
内田順三打撃コーチとは対照的に、そっと打撃ケージの後方へ。直接アドバイスをすることなく優しい眼差しを向けるにとどめ、「本人も自覚があるでしょうし、レギュラーを取ってやろうという意気込みもあると思います。そういうのは伝わってきましたね」とその力を見極めた。余計なプレッシャーを与えずに、若手にはのびのびと力を伸ばしてほしい。それは1998年に慶大から即戦力と注目された自身の経験からくる配慮でもある。
昨年までは、己の技術の向上に力を注ぎ、来る者拒まずで教えを請われれば、アドバイスを行ってきたが、チームメートを意識的に見るようになったのは監督に就任してからのことだ。特に一軍経験のない若手選手を観察する機会は昨年の秋季練習&秋季キャンプのわずかな期間に限られたため、今春季キャンプでは観察と見極めを自らのテーマの1つとしている。
この春は「ちょっと見ることがいっぱいあってね」とランチを取るのも忘れるくらい集中することもしばしば。二軍、三軍の練習にも積極的に顔を出し、イメージや固定観念を捨て、一軍戦力に足り得る戦力の発掘も欠かさない。
「できるだけ全員に声をかけてもらいたいし、遠慮せずにどんどん教えてもらいたい」との新指揮官からの要望を受けて、青空打撃教室を開講するなど動きを見せ始めた
松井秀喜臨時コーチとは対照的に、自身は細かい指導には至っていないが、選手には「誰がレギュラーにふさわしいか、しっかりと見極めて、勝ちに一番近づける野球をする。個のレベルを上げるということは、秋から変わらず求めていること。レベルアップをした中でレギュラー陣を選んでいきたい」と現状からのワンランク、ツーランクアップを切望した。中でも昨季リーグ最低だった打率.243を.260以上、1試合平均3.4点だった得点を4.0点以上にアップすることを今季の目標に掲げ、そのためにこの1カ月を、“個”の研鑚に充ててほしい考え。
「勝つために最善をと考えています。変えることがいいのか、同じがいいのか、これからやらないと分からないけど。そりゃあ、みんなに期待していますよ」
チャンスは平等に与えていく方針。高橋監督のお眼鏡にかなうのは、果たして。
高橋新監督を支えるチームリーダー・長野久義
昨春キャンプは手術明けで二軍スタートと出遅れたが、新選手会長となって迎える16年はすこぶる状態が良い。2月1日に高橋由伸監督、
坂本勇人主将とともに青島神社を参拝。絵馬には「挑戦」と記し、今季に懸ける思いを表明した。キャンプ3日目には、若手に混じり、異例の早出特打ちを敢行するなど、選手会長自らが指揮官の求める“個”のレベルアップを実践。さまざまな重圧も、「Have Fun(楽しもう)!」を合言葉に乗り越える。
阪神・金本知憲監督 熱く、粘り強く積極的指導中

グラウンドの中を歩き回り熱い言葉で選手を指導する金本監督
気になる選手に歩み寄り、身振り手振りの指導を行う。何度も何度も同じことを繰り返し教える。根気よく粘り強く・・・
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