昨年セ優勝の王者・ヤクルトと、1.5ゲーム差で同2位に終わった巨人との“因縁”の開幕戦は、V奪回を目指す巨人に軍配が上がった。今季もVを争うであろう両球団のエースと中軸打者との注目の対戦をクローズアップ、昨年まで巨人投手コーチを務めた川口和久氏に分析を依頼した。今季これからの対戦を左右しかねない大事なファーストコンタクトには、両バッテリーのさまざまな思惑が隠されていた。 取材・構成=坂本匠、阿部ちはる、写真=桜井ひとし 強気のストレート勝負
菅野智之選手は昨年、ヤクルトに0勝4敗と勝つことができませんでした。そのヤクルトに1.5ゲーム差で優勝を逃しているわけですから、彼が2勝していたら結果は違っていたわけです。悔しさもあったのでしょう、強気で押す投球が印象的でした。実は過去2年は警戒心が強過ぎるがゆえのミスもあって精度がいまひとつ。しかし、開幕戦の菅野選手はここぞの1球、変化球の精度に加え、オフに磨いてきたストレートの威力が抜群で状態は良かったと思います。
昨年の首位打者で二番の
川端慎吾選手[15年対戦打率.417]との対戦から見ていきましょう。第1打席(1回表、一死)はヒザ元のストレートから入りました。体近くに投げておき、2球目は対角線に使って外角高めカーブで二ゴロ。見送ることを想定してのボールでしたが、バットコントロールの巧さが災い?しての打ち損じに。第2打席(3回表、二死)はそのカーブを生かし、今度は手を出しやすい内角高めで打たせました。記録は右前打ですが、あれは捕れる打球。不運でした。
気持ちが出ていたのが第3打席(5回表、一死一、二塁)です。1点を先制した直後の回のピンチの場面、プロセスが抜群でした。1球目を外角低めのストレートでストライクを取り、体に近いボール球のカットボールで空振りを奪い、再び外角低めのストレートで外・内・外と揺さぶりました。最後は内角高めのストレートを詰まらせて投ゴロに。これは昨年4割以上打たれている相手ゆえに、かわし切れない、力で行こうとの判断。捕手が
阿部慎之助選手だったら外だったかもしれません。この日の球威を信じた同級生の
小林誠司選手がマスクをかぶっていたからこその思い切った内角使いで、川端選手には強気の姿勢を印象付けられたのではないでしょうか。
続いてトリプルスリーの三番・
山田哲人選手[15年対戦打率.364]です。注目は第2、3打席ですが、第1打席(1回表、二死)からの流れが効きました・・・
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