12球団では最もリーグ制覇から遠ざかっている広島。再建への道は険しかったが、球団内部、そして外部の変化により、ようやく尽力が報われようとしている。チーム再建をもたらした要因とは――。 FA流出→人気低迷の負のスパイラル
長いトンネルから抜け出そうとしている。今季、広島は開幕から快進撃で、セ・リーグのペナントレースで首位を快走。6月末には1984年以来32年ぶりの破竹の11連勝を記録するなど、2位以下を大きく突き放す独走状態に入っている。広島の街は、25年ぶり優勝への期待が自然と、そして急激に高まっている。
初優勝の75年から最後の優勝の91年までの17年間、広島は強かった。リーグの盟主だったと言っても過言ではない。優勝は6度(日本一3度)、Bクラスはわずか2度の数字がそれを物語る。
山本浩二や
衣笠祥雄、
高橋慶彦、
北別府学、
大野豊など全国的なスターも時代を彩ってきた。
しかし、90年代に入ると、徐々に勢いを失っていく。92年を4位で終えると、翌93年は19年ぶりの最下位に沈んだ。95年は2位。96年はシーズン途中まで首位を快走しながら、最後は
巨人に「メークドラマ」と呼ばれた逆転優勝を許し、3位に終わる屈辱を味わった。翌97年も3位。5年ぶりのBクラスとなる5位となった98年から、チームは長い低迷期に入った。
プロ野球の制度変更が、チーム作りを狂わせた。広島は猛練習で選手を育て上げてきた。それに耐え抜いた高橋慶や
山崎隆造、
正田耕三らが主力選手となり、チームを引っ張ってきた。だが、93年にFA制度が導入された。94年に球団で初めてFA権を行使した
川口和久(→巨人)を皮切りに、99年は
江藤智(→巨人)、2002年には
金本知憲(→
阪神)と、主力へと育てた選手たちを次々に他球団に奪われた・・・
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