
試合前、ベンチ前で気合を入れた栗山監督。ここぞの場面でチームを一つにする手腕はさすがだった
試合を支配した圧巻の投球で唯一の点を守り切る
二刀流で突き進んできた真価を発揮した。
日本ハムが優勝マジック「1」で迎えた9月28日の
西武戦[西武プリンス]。先発のマウンドには
大谷翔平が君臨した。試合前、
厚澤和幸ベンチコーチが声を掛けると、頼もしくこう返答した。「こんな最高の舞台を用意してくれて、ありがとうございます」。伝え聞いた
栗山英樹監督は胸を熱くしたという。球威も制球も抜群、さらに気力も備わった剛腕は、勝てば優勝が決まる大一番で完ぺきな投球を見せた。
5回一死までパーフェクトピッチング。西武・
森友哉に初安打を許しても動じない。最速159キロの真っすぐにスライダー、フォークで凡打の山を築いた。イニングを重ねるごとに三振の数も雄叫びを上げる回数も増えた。圧巻の1安打15奪三振の完封劇。「優勝を決められて最後まで投げられた。まだまだ成長できる試合になりました」。笑顔で喜ぶ姿と裏腹に、末恐ろしさも感じさせる胴上げ投手となった。

今年のパの主役だった大谷。優勝を決める試合でも鬼気迫る投球で、独り舞台を演じ切りチームを4年ぶりの頂点へ導いた
決勝点は来日2年目の
レアードが値千金の放物線を描いた。4回に左翼席へホームランキング独走の39号ソロ。お決まりのフレーズ「すしボーイ!」と叫びながら定番のポーズをかました。昨季の前半戦は日本野球に苦しみながら、栗山監督の我慢の起用に応えて本来の力を発揮。今季は勝負強さも発揮して、優勝を決める一発を放った。「一生忘れられない日になった」。試合前には指揮官が2戦連続で声出し役を務め、チームを鼓舞した。チーム一丸となってしびれる展開を制し、4年ぶりのリーグ制覇を成し遂げた。

4回に先制かつ唯一の得点となるソロ本塁打をレフトスタンドに放ったレアード