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2016ドラフト直前展望

ドライチ候補、桜美林大・佐々木千隼 “長丁場”で生きる修正能力

 

スリークオーターの腕の位置から最速153キロを投げ込む佐々木。エースとしてイニング数もこなしており、スカウトの間では「最も早く一軍デビューできる」と即戦力の声が多い/取材・文=上原伸一、写真=長尾亜紀


 今年7月の日米大学選手権の開幕戦(新潟)で7回1失点12奪三振の快投を見せた佐々木千隼。投げるたびに評価を上げてきたスリークオーター右腕は、ここに来て「ドラフト1位指名確実」の声も聞こえてきている。今秋の首都大学リーグ戦でも滑り出しから順調で、筑波大、城西大と2カード連続で完封勝利。貫録の投球でチームの開幕5連勝をけん引すると、大安吉日の9月16日にはプロ志望届を提出している。

 将来への「覚悟」を決めて、エースとして、副主将として悲願のリーグ初優勝に挑む中、日体大2回戦では首都リーグ記録である53イニング連続無失点を達成する。しかし東海大・菅野智之(現巨人)が2011年春にマークした記録の更新がかかる4回に失点すると、この試合、延長12回を投げ切るも失点、自責点はともに2。春のリーグ戦では自責点1を上回る試合がなかった佐々木からすると、納得のいかない投球になった。チームも佐々木の降板後、13回からタイブレークとなった試合を落としている。

 次の帝京大1回戦はおよそらしくない投球になった。延長10回160球完投も、4失点でサヨナラ負け(3対4)。試合後、沈痛な面持ちで「(前週の日体大戦での)疲れとかは関係ありません」と声を絞り出した佐々木に対し、津野裕幸監督は「まだまだ技術的にも、精神的にも甘いということ」とピシャリ。津野監督は佐々木が桜美林大に入学した年(13年1月)に就任。志望大学のセレクションに落ちて入学してきた佐々木の資質を買い「無印」のころから後押し。厳しい言葉はそのまま期待の表れだ。ただ本調子でなくても“悪いなり”の投球ができるのが一流の証。真っすぐが走っていなければ、変化球に切り替える柔軟性を見せた。

 2015年2月から桜美林大の特別コーチで、プロ野球・横浜で通算101勝を挙げた野村弘樹氏は「アマと違ってプロは長丁場。いつも調子が良いとは限らない。いかに『それなりの投球』ができるか。佐々木の修正能力は1つの武器になる」と高いポテンシャルを分析している。

 真骨頂を発揮したのは悪夢の黒星から1週間後、10月8日の東海大1回戦だ。14年春の一部昇格以降、同大学からの初白星を、3安打シャットアウトで飾った。「年間7完封」は、11年の菅野に並ぶタイ記録。ドラフト直前に“野球の神様”が与えた試練を克服。今秋、評価急上昇のアピールを終え「10.20」を迎える。

PROFILE
ささき・ちはや●1994年6月8日生まれ。182cm85kg。右投右打。小学2年のとき、日野イースタンジュニアで野球を始める。三沢中では2年秋に都大会4強。都立日野高では1年夏にベンチ入り。3年夏は五番エースで早実、日大鶴ケ丘高を撃破し西東京大会8強。高校通算33本塁打。桜美林大では1年春から登板機会に恵まれ、3年春からエース。4年時から副主将で今春はリーグ1位の防御率0.27で初のベストナイン受賞。
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