セカンド特集の巻頭を飾るのはこの男。縦横無尽の守備で史上最高の二塁手の呼び声も高い広島内野陣の要・菊池涼介。ここではセイバーメトリクスで“忍者守備”の全貌に迫ってみたい。 データ解析・文=DELTA、構成=編集部、写真=湯浅芳昭 ゴロの捕球位置から探るNo.1セカンドの特殊能力
観る者を魅了すると同時に、多くの識者から高い評価を受ける菊池涼介のセカンド守備。ここではセイバーメトリクス視点で集計したデータを元に、その能力の実態を探っていきたい。
【図1】は昨シーズンの菊池がゴロをアウトにしたプレーにおける「捕球した位置」をまとめたものだ。比較対象として、同じくセカンド守備に定評のある
山田哲人(
ヤクルト)【図2】、
藤田一也(
楽天)【図3】についても同じ図を作成した。

昨シーズンの菊池、山田、藤田の3人がゴロをアウトにしたプレーにおける「捕球した位置」をまとめたもの。菊池がいかに深めでも捕っているのかがよく分かる
プロット図の点の多さは、ゴロを多くアウトにしたことを意味するので高評価に直結する。ただ、守備イニング数にも左右されるので、特に藤田は菊池より300イニングほど(30試合強)少ない点は比較する上で注意が必要だ。
プロットの数の多さ以上にまず目を向けたいのは、プロットの拡がり方だ。菊池は山田や藤田がアウトにできていない
一塁寄り(一・二塁間)の打球を多くアウトにしていることが分かる。山田は菊池ほどの拡がりはないものの、左右バランスよくアウトにしていた。一塁方向に対しては一塁手の守備範囲にまで入ってアウトにするようなプレーはなかったが、その手前のゾーンでプロットがいくつも重なっており、アウトをしっかり稼いでいたことが分かる。
二塁寄り(二遊間)の打球については、3選手ともよくアウトにしていた。一塁寄りのゴロをあまりアウトにしていなかった藤田もある程度アウトにしている。ここでさらに注目したいのは、
菊池がかなり深めの位置で捕球してアウトにしていることだ。これは定位置からの距離を問わず確認できる傾向で、藤田と比べるとかなりの違いがあることは一目瞭然である。
NPB平均以上の割合でゴロをアウトにする技術
この図によって選手がゴロをアウトにした事実を把握することはできるが、さらに客観的な解釈や比較をするためには数値でも考察する必要がある。
そこでアウトにしたゴロの捕球位置だけではなく、守備に就いている際に・・・
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