ここからは捕手の“技”に迫る。強肩、正確な送球を武器に昨年、パ・リーグトップの盗塁阻止率を誇った炭谷銀仁朗。獅子の扇の要を担う男にその極意を聞いた。 取材・構成=小林光男、写真=高塩隆、矢野寿明 重要なのは送球の正確性
過去に3度、パ・リーグでトップの盗塁阻止率をたたき出している炭谷銀仁朗(2012、14、16年)。球界きっての“強肩”が一つの理想とするのは1993年、ヤクルトが連覇を果たしたときの古田敦也だろう。連覇を果たしたこの年、古田はNPB史上最高の盗塁阻止率.644をマーク(表2参照)。しかし、もっと目を見張る数字は企図数だ。その数、わずか45。「古田からは走れない」と走者が塁上であきらめることが多かった証拠で、ひいてはそれが勝利への礎の一つとなった。 炭谷 僕も盗塁阻止率より、企図数を抑えることを目指しています。例えば100個企図されて50個刺したら、阻止率は5割ですよね。で、10個企図されて1個刺したら、阻止率は1割。5割のほうが阻止率は高いですけど、許した盗塁は40個近く多い。どちらがチームに貢献しているかといったら、やはり9個しか盗塁を許していない後者ですよね。とにかく“炭谷からは走れない”という意識を相手に植え付けることは重要。究極は企図数がゼロです。
ただ、「盗塁阻止の条件とは?」と聞かれたら、半分以上は投手の力になる。しっかりけん制ができるか、クセを走者に見破られないか、そしてクイックが可能か。そこが大きいですが、ある程度のクイックや走者に完ぺきなスタートを切らせないことをしてくれれば十分でしょう。
盗塁阻止において捕手の技術で最も重要なのは・・・
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