長年、阪神の正遊撃手の座を務めた鳥谷敬が今年から三塁に専念。ショートレギュラーの座を手に入れようと2人の若虎がしのぎを削っている。糸原健斗と北條史也。果たして、どちらが“鳥谷の色”を消し去ることができるか──。 
いとはら・けんと●1992.11.11生=24歳175cm80kg/右左/開星高-明大-JX–ENEOS-阪神17※ショート歴1年
珍しいパターンだ。阪神ドラフト5位ルーキーの24歳・糸原健斗はプロ入り後、初めて遊撃守備に本格挑戦している。遊撃手がほかのポジションに移る例は枚挙にいとまがないが、逆は非常にレアケースといえる。糸原はある日、
久慈照嘉内野守備走塁コーチに戸惑いを明かしている。
「プロの選手はみんな、足が速いですよね……」
島根の開星高から明大、JX-ENEOSと球歴を積み重ねていく中で、主戦場は三塁や二塁だった。守備陣の要と表現される遊撃を守る回数が増えた今、率直な感想は「プロはスピード感が違いますよね」だ。「打者一人ひとりの足が速いし、アマチュア時代と違って打球にスピンがかかっている」。プロではゴロの球足が速く、深いポジショニングを取らなければ簡単に二遊間、三遊間を抜かれてしまう。かといって、深い守備位置から緩慢な動きでゴロにチャージすれば、内野安打にされてしまう。少しでもファンブルすると結果は同じ。一瞬のスキも許されない。それがプロ野球で戦う遊撃手の宿命、ということだ。
現在、一軍で糸原と遊撃スタメンの座を争っている高卒5年目の22歳・北條史也も同感する。「速い打球ならともかく、普通の打球の場合・・・
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