2位阪神に続くCS進出をかけた3位争いがシ烈だ。前半戦のつまずきから底力で浮上してきた巨人と、2年連続のAクラスを死守したいDeNA。2チームによるデッドヒートはシーズン最終盤まで続く気配だ。ここからは両チームの現状をリポート。まずは残り8試合を総力戦で戦うラミレス監督率いるDeNAからだ。 ※成績・記録は9月24日時点 
ラミレス監督が持ち前のポジティブな思考を選手に植え付け、DeNAは5割を超える位置をキープ。残り8試合、なりふりかまわない姿勢で3位をつかむ
今シーズン最大の「ヤマ場」
最終コーナーを回り、指揮官が手綱を引き締め、鞭を入れた瞬間だった。9月23日、ナゴヤドームで行われた
中日戦の試合前ミーティング。ラミレス監督は熱のこもったスピーチで選手を鼓舞した。「今日からがシーズン最大のヤマ場だ。ベストを尽くそう。投手は一球一球、打者は一スイング一スイングにしっかり集中してやろう。どんな打者も、どんな投手も甘く見てはいけない」。直接対決は終えたものの巨人とのシ烈なデッドヒートを繰り広げる中、2年連続のクライマックスシリーズ(CS)に進出するため、チームをあらためて一つにまとめた。
9月に入り、6勝9敗とやや失速気味だった。チームは一時4位に後退した。だが指揮官は一喜一憂することなく「最大のヤマ場はもっと先に来る」と言い続け、平常心を強調。その「ヤマ場」がついに来た。19日〜22日の試合のない4日間に「今までを見直して、いろんなことを変える」と断言した。
随所にCSへの執念がにじむ。一つは先発投手の起用法。
石田健大、
今永昇太、
ウィーランド、
濱口遥大、
井納翔一の5人を残り10試合で2度ずつ登板させる見込み。シーズンを通して埋まらなかった「先発6番手」をなくし、各投手に中5日の間隔でスクランブル登板させる。
また抑えの
山崎康晃についてはこれまで慎重な起用が続いていたが、「イニングまたぎ」の解禁を示唆した。「8回2アウトから投げてもらって、試合を終わらせてもらうケースもあり得る」と話し、9月23日までで自己最多の63試合に登板し、防御率1.63と抜群の安定感を誇る守護神をフル回転させる意志を示した。山崎康も「全力で抑えるのが僕の仕事。そういう準備もしてきたし、想像もできている」と意気に感じて、腕を振るつもりだ。
捕手の起用にも柔軟性を見せた。昨季から
戸柱恭孝を「正捕手」と公言してきたが、ここにきて
嶺井博希を多く起用するようになった。当初は打撃を評価して相手の先発が左投手の試合での起用が多かったが、嶺井の先発出場時の防御率が良いと判断するや、右投手が先発でもマスクをかぶらせた。「状態も良いし、結果も出ているのはまぎれもない事実。戸柱もうまく使いながらやりたい」と説明。選手に「レギュラー」の称号を与えるまでに慎重に見極め、一度その格付けをしたメンバーとは心中の構えすら見せていた。その指揮官が勝利への執念を優先させたようにも映る。
打線は開幕時の“肝”だった「二番・
梶谷隆幸」の攻撃的な布陣を再び敷くことになった。一番の
桑原将志が9月に入り、出塁率.277とやや不調で「初回から攻撃的にいける。桑原が凡退しても梶谷が出塁して盗塁などで筒香(
筒香嘉智)の前にチャンスを作れる」との理由からだ。23日の中日戦はまさにこれがはハマった。1回一死から梶谷が四球で出塁すると、筒香の打席ですかさず二盗。「大事な試合が続くので、チームに勢いをつけたい」と打席に入った主将がきっちり先制の適時二塁打を放った。この回に7長短打でラミレス監督就任後でイニング最多得点となる8点を奪った。9月はチーム打率.229と冷え込んでいた打線が17安打13得点と一気につながった。

梶谷を二番に戻したのは桑原の調子が下降気味のため。“攻撃的”二番として相手にプレッシャーをかける
23日は無安打無得点と快投していた石田を6回95球で降板させた。中5日で回る見込みの次回登板にベストの状態で回させるためだ。優先するのは個人記録よりもCS進出のため。ラミレス監督は「ここからはすべての試合が重要。楽な試合は一つもない」と気を引き締める。そして、その精神は選手にも確実に伝播しているようだ。
27日からは本拠地・横浜スタジアムに戻り、2位阪神と3試合、
広島と2試合の計5連戦。1日空いて中日との2連戦でレギュラーシーズンを終える。計7試合をホームで戦えるのは大きいだろう。チームが一体となり、一戦必勝の構えで戦い続ける先に歓喜が待っている。

指揮官が「ヤマ場」と位置付けた4連休明けの大事な初戦は先発・石田が6回“ノー・ノー”の好投でチームを勢いづけた
攻撃陣の現状 本来は強力打線だが……
シーズン中には珍しい4連休が明けた23日の中日戦[ナゴヤドーム]では、初回に8得点。かつてのマシンガン打線を彷彿とさせる集中打で試合を決めた。とはいえ、“打撃は水物”とはよく言ったもので、調子が上向きな打線の勢いがこのまま続く保証はない。理由もなくパタリと沈黙してしまうのが打線であり、好球必打を看板に掲げるDeNA打線はその傾向が強い(逆にいえば、ハマったときの破壊力は抜群なのだが……)。終盤を迎え、残り試合数の多い阪神戦で打率.365とハイアベレージを残す梶谷を二番に戻し、七番に
柴田竜拓を置く。九番の
倉本寿彦は得点圏打率.336とラミレス監督の構想がようやく形になってきた。一方で、代打陣の層の薄さに指揮官は頭を悩ませている。

四番に座るロペスは100打点を突破、頼れる主砲だ
投手陣の現状 先発5人を中5日で回す
先発5人を中5日で回すことになる。今永昇太が唯一2ケタ勝利をクリアしているとはいえ、ライバル球団と比較すれは先発陣は弱い。その分、中継ぎの奮起が必要なのだが、今季は実績のある
三上朋也、
須田幸太、
田中健二朗の出来が今一つ。現時点では7回を
砂田毅樹とシーズン途中で
日本ハムから加入したエスコバー、8回を
パットンが担うのが勝ちパターンで、いかにリードした状態でクローザーの山崎康晃につなぐかがシーズン序盤から続くテーマだ。
巨人とのCS争いを考えれば、先発投手が試合を作ることが絶対条件。そして、残り8試合すべて勝つつもりで臨まなければ、道は開けない。山崎康の“イニングまたぎ”解禁に象徴されるように、一戦必勝の投手起用が必要になるだろう。

安定感はチーム一、ウィーランドが先発ローテの柱